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小平市在住の井原宏蕗さんが岡本太郎現代芸術賞で敏子賞

井原宏蕗さんと岡本敏子賞受賞作「cycling」

井原宏蕗さんと岡本敏子賞受賞作「cycling」

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 「第20回岡本太郎現代芸術賞」の授賞式が2月2日に行われ、小平市在住の井原宏蕗さんの、動物のふんで動物を作った彫刻「cycling」が岡本敏子賞に決まった。

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 美術家の岡本太郎の精神を次世代に継承し、自由な視点と発想で社会に鋭いメッセージを突きつける作家を顕彰するため1997年に設立された岡本太郎現代芸術賞。20回を数える今回は、499点の応募があり、26作家が入選し、その中から岡本太郎賞(賞金200万円)1点、岡本敏子賞(同100万円)1点、特別賞(同20万円)3点が選ばれた。

 井原さんは1988(昭和63)年大阪府生まれ。2013年東京芸術大学大学院を修了し、現在小平市在住。受賞作は、シカ、ヒツジ、ウサギなど8種類の動物のふんを漆でコーティングして接着し、排せつ元の動物の形を原寸大で制作した。

 受賞作について、井原さんは「生きた痕跡を作品化した。ふんも漆も生物から出る副産物のようなものだが、漆は高級で、恒久的な素材としてふんの対極に位置することに着目し、ふんをするという一過性の行為を普遍的なものに変えることができるかを考えて制作した」と話す。「受賞したことで地味な仕事が日の目を見て、ふんの選別やふんにまみれた漆を削る仕事を手伝ってくれた人たちにも感謝の気持ちを伝えるきっかけができた」とも。

 5人の審査員のうちの一人、美術批評家で多摩美術大学教授の椹木野衣さんは「人が嫌がるふんを、古来人がことのほか愛(め)でてきた漆でコーティングし、その持ち主へと『返す』ことで、本来あるべき生の『サイクル』を完結させ、優れた工芸品のように『転生』させてみる。人間の社会にとって消費とは何か、生き物にとって消費など存在するのかなど、多くのことを考えさせられる」と講評した。

 入選・受賞作は、川崎市岡本太郎美術館(神奈川県川崎市)で4月9日まで展示する。

 開館時間は9時30分~17時。月曜(3月20日を除く)、3月21日、22日休館。入館料は、一般=700円、高大生・65歳以上=500円。

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