竹中工務店(大阪市中央区)は11月11日、建替工事中の府中新町幼稚園(府中市新町2)で年長園児83人による「仮囲いを使ったワークショップ」を開いた。
同社は、建替の設計・施工にあたり、アーティストの池田光宏さんと小木曽瑞枝さんによる「幼稚園壁画へのアート計画」と「年長園児たちによるワークショップイベント」を同園に提案。「年長園児は来年3月に完成する新園舎を1カ月しか使えない。その園児たちに大切な思い出を作ってあげたいと考えた」と同社設計部の永井さん。同園理事長の小池さんも「当園は設立当初から芸術を重視した情操教育を展開していたこともあり、教育方針ご提案いただいた内容がうまく合致した」と話す。
ワークショップでは、「自分の好きなもの」をテーマに、新園舎の工事現場の仮囲いに描きたいものを描くように園児たちがマスキングテープを貼った上からペンキを塗り、その後テープをはがして完成させる。「新園舎の工事現場に、いかに園児に関わってもらうかということを考えた」(永井さん)という。園児らは9月に開いた1回目のワークショップで画用紙を使ってマスキングテープの使い方に慣れた後、今回のワークショップに挑戦した。
当日は、年長園児83人が一斉にテープはがしを実施。約1時間の作業の後、ピンク、黄色、緑のペンキの色に白抜きされた絵が浮き出た。最初は黙々とテープをはがす作業を行っていた園児たちだが、少しずつ自分たちが描いた絵が浮き出るにつれて歓声が上がった。「好奇心旺盛な園児たちにとっては初めての作業だったのでとても楽しく取り組めたのでは」(小池さん)。
園児たちとともにワークショップを担当したアーティストの2人も「普段子どもたちが使い慣れないマスキングテープを使ったので当初はどうなるかと心配したが、園児たちなりに工夫しながら大人が想像もつかないことを表現していた」(池田さん)、「自分の思いを即興的に絵にすることにためらいがなく、のびのびとした勢いを感じることができた」(小木曽さん)と、それぞれ感想を残した。
園児たちが手がけた仮囲いは来年2月末まで設置される予定。小池さんは「当園は来年設立46年を迎える、地域の教育振興の一翼を担った幼稚園。地域の方々にも園児たちの力作を見に来ていただければ」と話す。