立川商工会議所所属のIT関連企業32社から成る「たちかわIT交流会」と長野県茅野市が連携し、茅野市の学生が同会の企業に就き、リモートワークで勤務する採用枠を2022年新卒採用から設ける。
若者の就職先が無く市外や県外へ流出し、3年前から人口の減少傾向が続く茅野市と、東京であってもIT人材は都心の企業に偏りIT人材が不足している多摩地域の立川市は、「互いの思いがWin-Winの関係になれる」と事業を立ち上げた。
採用した学生は就職後、基本的には長野県内の自宅やシェアオフィスで、テレワークで勤務する。必要な打ち合わせ時に立川の本社に行く場合でも、JR中央線特急の利用ができる便利な位置関係にある両市。昨年8月には、たちかわIT交流会の事務所兼シェアオフィス「ワークラボ八ヶ岳」を茅野駅前に開設し、就職後に利用できる環境を整えている。
諏訪東京理科大や茅野市出身で県外や多摩地域の大学に通う学生にこの事業を知ってもらい、地元に住み働きながら、立川の企業に就職する「リモート就職」を目指す。同会は3月26日、茅野市内で諏訪東京理科大3年生に向け就職説明会を開き、インターンシップへの参加を呼び掛ける。
同会代表を務める東洋システム(立川市柴崎町2)社長の飯田哲郎さんは「人口流出に歯止めをかけ若者が住むことで住民税の税収も増える茅野市と、優秀な人材確保が可能になる多摩のIT企業と、それに伴い法人税の税収が増える立川市と、3者がWin-Win-Winになれるメリットもある」と話す。
飯田さんは現在、同社の社長でもあるが、東京農工大学博士後期課程の学生としてテレワークの研究も行っている。「テレワークでの課題が見えている。くたびれない環境や疲れない食事、コミュニケーション方法についても今後、情報提供していければ。さらには、茅野市の古民家でのワーケーション事業も進めていきたい」と意気込みを見せる。