立飛ホールディングスが10月27日から、同社の保有する旧陸軍機の「一式双発高等練習機」を同社南地区5号棟(立川市高松町1)で一般公開する。
同機体は2012(平成24)年、沈んでいた青森県十和田湖の湖底から69年ぶりに引き揚げられた。同社の前身である立川飛行機が戦時中に製作したもので、引き上げ以降は日本国内に現存する唯一の機体として青森県三沢航空科学館に展示されていた。同社は機体に残る「立川飛行機株式会社」の銘板を目にし、「同機の雄姿やかつて立川飛行場および立川飛行機を中心として、科学技術の最先端を誇っていた街の歴史を伝えることが弊社の使命である」と感じ、2020年に同機を譲り受け立川で保有している。
機体は約70年間水没していたことで腐食が進行し、外板には穴が空いている箇所があるが、機体内外には運用時に塗られていた塗色や日の丸の赤色塗装、所属部隊を示すマーク、注意書きなどを見ることができるという。
広報担当者の阿部哲子さんは「69年間湖に沈んでいた同機は、奇跡が幾重にも重なり美しい姿のまま引き揚げられた。機体全体が残っている一式双練は世界でもこの機体だけで重要航空遺産にもなっている。主に15歳~18歳の少年兵が練習のために使っていたもので、あこがれのパイロットになるべく彼らが青春時代を過ごした機内も全て見ることができる」と話す。
併せて、グリーンスプリングスで同社が戦後に製造したR-53型軽飛行機、R-HM型軽飛行機も同時公開する。立飛麦酒醸造所と同社ECサイトでは10月23日から、グリーンスプリングスではイベント期間中に、立飛ビール購入者を対象にイベント記念オリジナルステッカーを進呈する。
阿部さんは「一般公開イベントは今年で最後の予定なので貴重な機会。当時の技術が残る飛行機を通じて、地域の皆さまにも歴史の一端に触れていただければ」と呼びかける。
開催時間は10時~16時(受付は15時45分)。入場無料。10月30日まで。