国分寺市にある「フードセンター日吉」(国分寺市日吉町3)が舞台となった映画「わたしの見ている世界が全て」が3月31日、公開される。
森田想さんを主演に佐近圭太郎さんが監督を務める同作品。ダラス・アジアン映画祭に正式出品した。森田さんは同作でマドリード国際映画祭外国語映画部門主演女優賞を受賞している。
フードセンター日吉は、店主の森田よし子さんの家族や親族がそれぞれ営む八百屋、うどん店、生活用品店、イベントスペース、ラーメン店など複数の店が入る商店で、3世代で運営。佐近さんの先輩に当たる映画監督の中川龍太郎さんが同店を訪れたことをきっかけに、「フードセンター日吉を舞台にした家族の物語」という構想が生まれたという。
構想を形にした佐近さんは「共同体意識は希薄になり、個の幸せをいかに追求するかに躍起になる現代社会の中で、変わらず地元のつながりを大切にし、共生しながら人びとに憩いを提供し続けている同商店を映画の中に残したいという思いを原点に製作がスタートした」と振り返る。
「自分から見えている世界だけを信じて、他者への想像力を持たない人や、その振る舞いに対して怒りに近い違和感を覚えていた」と佐近さん。「個人主義の象徴ともいえる主人公を登場させ、今の時代の空気と、フードセンター日吉に住む家族にひも付く共同体をぶつけ合うことで、何かが見えてくるのではないかと考えた」と話す。
同映画は、自主配給での全国公開を目指している。佐近さんは「映画を作るだけでなく、届けるところにも責任を持ちたい。チラシや予告編の用意など、公開までに必要な全ての準備を多くの人に支えてもらいながら、監督である私自らが先頭に立って準備を進めている」と話す。
上映館を増やすため、現在、クラウドファンディング「Motion gallery」で資金支援を呼びかけている。目標金額は340万円。支援コースは3,000円から。
上映が確定している映画館は現在、全国12館。立川では「kino cinema立川高島屋S.C.館」(立川市曙町2)。