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立川で没入体験型の展覧会「大どろぼうの家」 ヨシタケシンスケさんら参加

谷川俊太郎さんの朗読が流れる「銀の庭」

谷川俊太郎さんの朗読が流れる「銀の庭」

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 クリエーター7人が参加し「泥棒」をテーマにした没入体験型の展覧会「大どろぼうの家」 が7月16日、立川の「PLAY! MUSEUM」(立川市緑町3)で始まった。

原画の前で話すヨシタケシンスケさん

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 引退を決めた「大どろぼう」が最後の盗みに出て留守中の家に来場者が忍び込む設定で構成する同展。回廊・応接室・隠し部屋など8つの部屋から成る展示室には、泥棒の肖像画、著名作家らの美術品などのコレクションを展示する。

 開催に先立ち15日に開かれた内覧会で、同館プロデューサーの草刈大介さんは「泥棒は罪人でありながら数多くの物語に描かれ、人気がある。その不思議を面白がる、あるいは考えるような展覧会を開きたいと思った」と話した。

 「銀の庭」と名付けた空間では、宇宙にあこがれていたロマンチストの「大どろぼう」が、谷川俊太郎さんの訃報を聞き、宇宙や星をめぐる15の詩を盗み出し、庭を飾ったというインスタレーションを展開。谷川さんの詩の朗読と長男・谷川賢作さんによる音を流す。内覧会で、賢作さんは「(大どろぼうは)全ジャンルにわたる本を読み、谷川俊太郎のファンでもあって、相当インテリな泥棒。セレクトされた俊太郎の詩もスタンダードなものが多い」と話した。

 「大どろぼう」は後継者を育てるための絵本を作ろうと考え、絵本作家のヨシタケシンスケさんを盗み出し、「どろぼうを育てる絵本」を描く指令を出す。ところがヨシタケさんは予想を裏切る絵本を作り、「大どろぼう」を感服させた。「トリコロールの廊下」と名付けた空間では、「大どろぼう」のコレクションの一つになった絵本の原画を展示する。

 内覧会で、ヨシタケさんは「犯罪者でもある泥棒をヒーロー扱いすることはできない。でも『こういう考え方もできるよね』というところで、大どろぼうを肯定的に捉えるコーナーを自分が担当すれば、他のコーナーでふざけても許してもらえるのではと思った」と話した。草刈さんは「なんて配慮してくださる方なんだろうと思った。ヨシタケさんの提案はそのまま展覧会の骨格になった」と続ける。

 ヨシタケさんが同展のために作った絵本「まだ大どろぼうになっていないあなたへ」をはじめ、同展に関連する本4冊を、草刈さんが社長を務めるブルーシープ(武蔵野市)が出版。期間中、会場でも販売する。

 開館5周年企画として、近隣施設や店とも連携。「大どろぼうは後継者を探すため、多くの人に留守を知らせ自宅に忍び込ませようと、市内各所から物を盗み、引き換えに名刺を置いて帰った」という設定で、立川市内を中心とした公共施設、商業施設、飲食店43カ所の各一品を展示。各所では「宝物いただきました」と書かれた「大どろぼうの名刺」を配布する。

 開館時間は10時~18時(入館は閉館の30分前まで)。入館料は、一般=1,800円、大学生=1,200円、高校生=1,000円、中・小学生=600円(立川市在住・在学者割引あり)、未就学児無料。9月28日まで。

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