立川シネマシティ(立川市曙町2)で7月9日から、映画「Lily」が公開される。
同作品の監督・脚本を手掛けた中島央さんは東京都杉並区生まれ。アメリカ・カリフォルニア州にて映画製作を学び、2003年サンフランシスコ州立大学映画学科卒業後、脚本家としてキャリアをスタート。
2007年、自身の初監督短編作品となる「Lily」を発表。作品はハリウッドで撮影され、アメリカ人のキャスト・スタッフで製作された英語作品。第40回ヒューストン国際映画祭、第11回ロサンゼルス国際短編映画祭を皮切りに世界中の映画祭で幅広く上映され、最優秀短編作品賞や最優秀監督賞などを含む総計4賞を受賞、8賞のノミネーションを受ける。
2008年には同作をさらにリニューアルした同名の初長編劇場映画「Lily」の製作をスタート。前作同様アメリカ人キャストで全編英語で撮影され、2009年初頭に一度完成。同年のカンヌ国際映画祭でワールド・プレミアを行う。その後、メキシコ国際映画祭2009でシルバー・パーム・アワードを受賞し、ハリウッドを中心としたアメリカの映画祭での上演が続いたが、中島さんは「自分が伝えたい映画のメッセージが十分に伝え切れていない」と同作をさらに1年間かけて再編集し、昨年5月、同作の最終完全版を完成させた。ロサンゼルス・ムービー・アワード、ザ・アコレードなどのアメリカの映画賞機関の作品部門賞を次々と受賞。今年4月には東京・渋谷でも上映され、多摩地区では今回が初めての公開となる。
新進気鋭の若手脚本家ヴィンセント・ナイト(ジョシュ・ロング)は、5年前に華々しくデビューを飾ったものの、その後は次回作が書けずスランプに苦しんでいた。長年同棲中の恋人(レベッカ・ジェンセン)との仲は落ち着いているものの、創作意欲を刺激するような事件はなく、彼女との実生活をベースに書き始めたラブ・ストーリーはすぐにアイデアに詰まってしまう。そうした彼に、映画会社のエージェントであるボブ(ジョン・ボーレン)は、最後のチャンスとして1週間以内に脚本を仕上げるように命じた。追い詰められたヴィンセントは、自分の気持ちと正直に向き合い、脚本を書き上げようとするストーリー。
「結局、企画を立ち上げてから完成まで、2年間の期間を要するほど大きなプロジェクトになるとは全く予想もしていなかった。しかし、この物語に共感してくれたさまざまな人たちとの出会いのおかげで、この映画を完成させることができたと思っている。現時点で自分が一番伝えたかった物語を映画として完成させることができ、さらに発表できる機会をいただき映画監督冥利(みょうり)に尽きる。この物語をぜひ世界中の人に伝えたい」と中島さん。
公開初日となる9日には中島さんによる舞台あいさつも予定する。公開は今月14日まで。