国立市出身の絵本作家の降矢(ふりや)奈々さんが現在、アートで東日本大震災の被災者を支援する「手から手へ・11、3、2011 震災後のメッセージ」展を世界各地で開催している。
降矢さんは若手絵本作家として活躍中だった1992年、ブラチスラバ美術大学に留学。現地で結婚、一女を持つ。現在も同地在住。代表作は「ともだちや」シリーズ、「めっきらもっきらどおんどん」、「ちょろりん」シリーズなど。
「私は子どものための絵本を描いているが、震災後の日本で多くの子どもたちが理不尽な状況に置かれているのに、絵本でその状況を変えることができず何の役にも立たないと落ち込んだ」と降矢さん。「絵が本当に役立たずなのか、絵は子どもたちを救えないのか、この問いに答えるためにも展覧会を開きたいと思った。私自身、絵で何かできると信じたくて、それを表明したいとも思った」
世界各地で開催することについては、「今この時、日本国内の人々の気持ちや考えを、日本の外に向けて発信したいと思った。子どもたちの未来を考えた時、原発の問題などは地球規模で真剣に考えていく必要がある。日本人だけで展覧会を開くのではなく、海外の人々とつながることができるイベントにしたいと考えた」という。
同展は降矢さんが発起人となり、日本から28人、スロバキア13人、イタリア3人、オランダ4人、ベルギー4人の計52人の画家が参加。「参加者一人一人がこの現実を見据え、メッセージを込めた作品を展示する」。作品はチャリティー販売し、売上金は全て福島の子どもたちを支援する団体に寄付する。
3月のイタリア・ボローニャ展を皮切りに、現在はスロバキア・ブラチスラバ展(4月28日まで)を開催中。降矢さんは「どの会場でも、会場の方々や足を運んでくださった方々から温かい言葉をかけてもらっている。海外の方々も、今回の日本の震災に心を痛め、また原発事故についても心配していることがよくわかる」と話す。
今後は、ポーランド・ワルシャワ(5月23日~6月22日)で開催予定。以降、「日本での開催も企画中」とも。