濱田隆史デザイン事務所(国分寺市泉町3)が視覚障がい者向けボードゲーム「アラビアの壺」を開発し、11月1日からホームページで販売を始めた。
武蔵野美術大学卒業生3人が今年3月に設立した同事務所。少数ユーザー向け商品の開発から販売・広報までを手掛ける。「アラビアの壺」は同事務所が開発した最初の商品となる。
代表の濱田さんは「テレビゲーム開発に5年間従事したが、視覚情報に多くを頼るテレビゲームは視覚障がいの方が楽しめないことを問題に思っていた。いつか画面を見なくても楽しく遊べるゲームが作ってみたいと考えていたところ出合ったのがボードゲーム。テレビゲームにはない音や重さ、触覚など、さまざまな要素を使ってボードゲームを作れば視覚障がいの方と晴眼者が対等に楽しめるのではないかと思い開発した」と話す。
視覚障がい者向けの玩具開発の第1弾となる同ゲーム。音を使った立体ボードゲームで、2~6人で9個の音の鳴る壺を順番に動かし、同じ音の壺を最初に一列にそろえた人が勝ちになる。聴覚を手掛かりにすることでハンデなく対等に遊べるのが特徴。「ゲームの世界観を感じ取ってほしい」と、壺の表面には視覚障がい者が触って分かるようレリーフ模様を施した。
同ゲームについて、「特別なおもちゃではなく、皆で楽しめるボードゲームとしての普及を目指す」と濱田さん。「ゲームの魅力は同じルールを共有することで垣根を超えて楽しめるところ。このゲームを通して、視覚障がい者と健常者が互いに関心を持ち、多様性を認め合う空間が少しでも増えたら。ぜひ視覚障がい者と健常者で一緒に遊んでみてほしい」とも。
価格は、ベーシック版=5,800円、ユニバーサル版=6,800円。