小平市内の図書館で1月25日、本の貸し出しや返却、普段入ることのできない書庫の見学や裏方の仕事を家族で体験する「冬の家族1日図書館員」が行われた。
図書館の裏側の仕事体験を通じて、図書館の仕組み、役割、利用方法を理解し、面白さや楽しさを知ることで、利用者の増加につなげることを目的とした同企画。
中央図書館の湯沢瑞彦館長によると、夏休みに行う「夏の1日図書館員」は1990年から毎年実施してきたが、応募多数で落選する家族が多く、昨年度から冬も実施することになったという。市内在住の小学生、中学生とその家族が対象で、今回は、中央図書館と花小金井、小川西町、喜平、上宿、津田、大沼の地区図書館の合計7館で9家族の応募の中から選ばれた8家族が参加した。
中央図書館では、2家族4人が参加。午前9時に湯沢館長のあいさつや自己紹介が行われた後、10時の開館時間までに終わらせなければならない作業に取り掛かった。
最初に行ったのは、返却された本の処理。ブックポストに入っていた返却本を返却カウンターへ運び、本に挟まっているものがないかの確認やパソコン画面を確認しながらバーコードを読み取るなどの返却の手続きを体験。図書館職員のアドバイスを受けながら、本を置く向きなどの約束ごとも守りながら注意深く行った。
貸し出しのコーナーでは、利用者に扮(ふん)した職員から利用者カードを預かり、本を渡すまでを一人一人が練習した後、実際の利用者への応対をスタート。返却期限の書かれたレシートを本に挟み、返却日を伝えながら、利用者に本を渡すまでを、緊張しながらも無事に行った。
10時30分頃からは、約30万冊の蔵書の約4割を収蔵する地下の書庫や、活字による読書が困難な人が本の朗読サービスを受けられる対面朗読室などを見学。
小平の図書館が全国に先駆けて1980年頃から始めた取り組みで、返却本を1冊1冊消毒用エタノールを染み込ませた布で拭いてきれいにする作業が行われている「図書清掃室」では、「図書館の本はきれいだと思っていたが、こうした取り組みがあることを初めて知った」(1日図書館員の鈴木紀子さん)など、驚きの声があがった。
その後、おはなし室で、ろうそくの明かりのもと、グリム童話「三枚の鳥の羽」の語りを聞き、本を保護する透明なシートを貼るルックス掛け作業を体験。12時に1日図書館員の仕事を終えた。
小学3年生の鈴木晴帆さんは「バーコードの機械を使って貸し出しや返却の作業をしたところが楽しかった」と笑顔を見せる。「将来の仕事として図書館司書にも憧れている。体験できて勉強になった」と中学3年の斉藤楓さん。母親の千賀子さんは「図書館が好きでもっと知りたいと思い応募した。一冊の本を借りるのに大変な労力がかかっていることがわかって驚いた」と話していた。
小平市の図書館では今後も、毎年夏と冬に1日図書館員の募集を行う予定。