国分寺の旧社員寮を改修し、畑仕事や掃除、ごはんづくりなどを共にすることで家賃を3万円にする「ぶんじ寮」プロジェクトが、12月1日入居開始を目指し準備が進んでいる。
同プロジェクトは、敷地面積222坪の広大な土地に2棟の建物が立つ、国分寺に本社があるリオンの旧独身寮を改修する。8畳程度の個室が22部屋あり、風呂やトイレ、ランドリーは共有。居住するだけでなく、広い食堂や中庭、屋上スペース、畑、ゲストルームなどの広大な共用部に、入居者以外の地域住民も迎え入れ、「まちの寮」として住人と街とがつながりながらの場づくりを目指す。
同プロジェクトの発案から関わる企画メンバーの一人で、今回の取り組みにも中心的に関わっている「クルミドコーヒー/胡桃堂喫茶店」店主の影山知明さんは、以前から国分寺かいわいで、街の活性化を図るプロジェクトに取り組んできた一人。影山さんは「コロナ禍の影響で売り上げが激減し、寮の提供が従業員の生活の支えになれるかと考えた。併せて、国分寺の地域通貨『ぶんじ』のプロジェクトなどを立ち上げ、その地域通貨だけでごはんが食べられる『ぶんじ食堂』の取り組みを2年続けてきたことから、常設の拠点が欲しいと考えていたタイミングで物件との出合いがあり仲間を募ったところ、14人の企画メンバーが集まり始動することとなった」と話す。
「ぶんじ寮の入居者には、学校を出て働き始めたくらいの20代前半単身世帯をイメージしていたが、呼び掛けたところ、コロナのため収入が不安定になってしまった方、年配の独り暮らし、1人親世帯、外国籍の方、障がいのある方など、『安心して居続けられる場所』を求めている方がたくさんいることに驚いた」とも。
入居条件は、地域のイベントやボランティアで地域貢献をして得られる「地域通貨ぶんじ」で家賃の一部を支払うこと。地域貢献するほど家賃が安くなる仕組み。「家賃が安いから住みたい、ということではなく、掃除や畑仕事、ごはんづくりや建物の修繕など日常をつくっていく仕事を一緒になってやってくださる方を想定している」と影山さん。
現在、クラウドファンディングサイトで改修費用などの資金を募っている。
「今という時代は、あまりにたくさんのものが『自助』『自己責任』に委ねられ、その結果、お金に頼らざるを得ない社会になってしまっている。今、僕らが取り戻したいのは『共助』。お互いの自由やプライバシーは尊重しながら、困ったときは助け合える、お互いの『弱さ』を持ち寄れる場が求められていると感じる。『ぶんじ寮』が一つのきっかけで、もし多くの方がそうした場を求めていることが可視化されたなら、全国的にも広がっていく可能性があると思う。良い先行事例になれるよう頑張っていきたい」と期待を込める。