「Textile of India-善三郎が愛したインドの布と兒嶋(こじま)画廊コレクション-」が現在、国分寺の画廊「丘の上APT」(国分寺市泉町1、TEL 042-207-7918)で開かれている。
洋画家・児島善三郎は1936(昭和11)年から15年間、国分寺にアトリエを構えた。1950(昭和25)年ごろから晩年にかけて静物画や中国・韓国の陶磁器、キリム、印度更紗(いんどさらさ)、ヨーロッパの綴織(つづれおり)などを収集。それらを作品に取り入れた。今回は児島旧蔵のインド染織品をはじめ、児島の孫の兒嶋俊郎さんが代表を務める兒嶋画廊コレクションを展示する。展示数は約50点。ほかにも、児島の絵画2点とその絵画のモチーフとなった布地などを展示する。
兒嶋さんは「収集した品を作品の中に大胆に取り入れ、独特の美しい色彩と相まって鮮烈で華やかな作品は人々を魅了した。花を描いた作品においては、テーブルに敷かれた布のストライプの斜線や背景に描かれた花柄の模様が反発力やイリュージョンを生み出し平面的に見える画面の中に強力な立体感を与えるなど、布は善三郎マジックの重要な助っ人となった。画家を目指していた三男の輝郎に、仕事として手描き更紗の染色を勧めたほど」と話す。
展示品の一つである「ミラーワーク」は、主にインド北西部に住む民族に伝承されている装飾技法で、集団・社会的身分を表す役割と魔よけのお守りとしての役割を持つ。同画廊の美坂さんは「ミラーは光を受けて反射する様子から、あしきものを反射し寄せ付けないものと考えられている」と話す。展示には「災いを全てはじき返す」という思いを込める。
美坂さんは「美しい布が皆さまをお待ちしている。何千年にもわたる複雑なインドの歴史が作り出した美しいあかね色と藍のコンビネーションの更紗や精緻な装飾の数々、超絶技巧の刺しゅうなどをお楽しみいただければ」と呼び掛ける。
開館時間は12時~18時。月曜定休(4月29日を除く)。入場無料。5月1日まで。