東大和市ハミングホール(東大和市向原6、TEL 042-590-4414)で来年1月29日、歴史講演会「鎌倉殿と北条義時」が開かれる。
坂井さんの著書「承久の乱」(中公新書)、「鎌倉殿と執権北条氏」(NHK出版新書))、「源氏将軍断絶」(PHP新書)
講師は、1月に始まるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で時代考証者を務める、歴史学者の坂井孝一さん。講演会では、ドラマの主人公北条義時と源頼朝・頼家・実朝三代の鎌倉殿との関係、幕府内の権力闘争など、鎌倉初期の激動の歴史について解説する。
坂井さんは東京都北区生まれ、東大和市在住。東京大学文学部卒業後、同大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得。博士(文学)。現在、創価大学文学部教授。専門は日本中世史。著書に「承久の乱」(中公新書)、「源氏将軍断絶」(PHP新書)、「鎌倉殿と執権北条氏」(NHK出版新書)がある。愛猫家。
幼少期から家族で歴史の話をすることが多く、自然に歴史が好きになっていたという坂井さん。武士が活躍し始める鎌倉時代にロマンを感じたことをきっかけに、鎌倉時代の政治・文化を中心に研究し、その当時に書き残された書類、日記、命令書などの史料を基に、歴史上の人物の考えや行動を推理し、検証している。坂井さんは「人それぞれ文章の読み方が違うように、歴史学者によって解釈の仕方が違う。いくつもの史料を比較検討して精密な推理を重ねていく」と話す。
研究に転機が訪れたのは10年ほど前。鎌倉幕府三代将軍・源実朝(みなもとのさねとも)に注目し研究するうちに、「これまで実朝は和歌ばかり詠んで政治には無関心で、ドラマの主人公である北条義時の操り人形のようにいわれてきたが、史料を読むうちに疑問が湧いた」。2014(平成26)年に、源実朝の暗殺までを描いた「源実朝」(講談社選書メチエ)を出版。実朝の和歌を読み解き、当時の政治状況を分析することで従来と違う実朝像を唱え、歴史学界に大きな影響を与えた。2018(平成30)年に出版した「承久の乱」(中公新書)が5万部のベストセラーとなり、鎌倉時代の歴史研究における第一人者として、大河ドラマの時代考証者に抜てきされた。
時代考証者は、脚本家である三谷幸喜さんに時代背景や人物像を伝えたり、脚本に歴史とのギャップがないかどうかチェックし、アドバイスを行ったりする。「三谷さんの大河ドラマは、新選組、真田丸に続く3作目。質問も鋭く、言葉遣い、身振り手振り、人物像など、時代考証チームの意見を取り入れながら、こんな風に描かれるのだなと驚かされることもしばしば」と坂井さん。「鎌倉時代は女性が生き生きと活躍する時代。頼朝の最初の妻、八重は新垣結衣さん、主人公の姉で頼朝の正妻、北条政子は小池栄子さん、キャスティングもぴったり」とも。
講演会では、「初代鎌倉殿の源頼朝に見いだされた北条義時が、頼朝の死後、幕府内の権力闘争に打ち勝ち、二代頼家、三代実朝を陰の主役である北条政子と共に支えていく有様について話す。その中で3回目の放送を終えた大河ドラマの裏話的なお話もできたらいいですね。ドラマや本と併せて楽しんでいただければ」と来場を呼び掛ける。
14時30分開演。