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旧国立駅舎で初めての結婚式 街のみんなでお祝い、ライブ配信も

「コミュニティーウエディング」で街の人々に祝福される高野夫妻(写真:Ayako Takeda)

「コミュニティーウエディング」で街の人々に祝福される高野夫妻(写真:Ayako Takeda)

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 旧国立駅舎(国立市東1)で1月22日、結婚式が行われた。プライベートの域を超えて、主役のカップルが街のコミュニティーと交わりながら、暮らしの延長で市民と祝う「コミュニティーウエディング」という形式で、同施設では初の試み。

駅舎をモチーフにしたキャラクター「くにニャン」を交えたフォトセッション

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 駅舎のピアノの音色に合わせて新郎新婦が登場すると、事前に配られた色とりどりのガーベラを持った街の人たちが拍手で祝福した。ピアノは現役の国立音楽大学の大学生のピアニスト小林碧葉(あおば)さんが演奏し、街kadode実行委員会のメンバーがカメラマンと会場スタッフに加わる。祭壇には、市内の生花店「モナムール」のフラワーアレンジと共に、新郎が関わる障がい福祉施設の仲間たちが作った大きなハートのオブジェが飾られる。

 新郎新婦は、国立市在住の高野宏さんと早紀さん。宏さんは市内でソーシャルワーカーとして働く傍ら、「街kadode(かどで)実行委員会」の代表として人生の門出を街で祝う活動を行ってきた。やぼろじ(谷保)での結婚式をプロデュースするなど、街なかでの結婚式を企画してきた高野さん。周囲からの「旧駅舎が再建されたら、ぜひ企画してほしい」との声を受け、一昨年4月に旧駅舎が再建されてから当日まで、同団体の佐藤さんと共に駅舎の空間にマッチする企画を練り上げてきたと言う。

 結婚式は、家族、友人だけでなく、集まった人たちみんなが証人となる人前式スタイル。初めに、出会いから国立での暮らしをつづった「二人の物語」を2人が朗読。「どこまでも続くかのような並木道が鮮やかできれいだなあと、それが私の最初の国立への印象でした」と早紀さん。「時には走ったり、時には休んだりしながら、この街で一緒に歩いていきましょう」と、2人で読み上げた。

 一昨年に入籍し、コロナ禍で3度の延期を重ねてきた2人の結婚式。会場は招待客のみの貸し切りとし、一般客は周囲の窓や展示室から見守った。広島市から訪れた宏さんの両親は「息子なりの幸せを見つけていることが分かって良かった」と笑顔を見せた。

 「街のちょっとした知り合いだから見届けに来た」という知人らも多く訪れ、屋外では駅舎をモチーフとしたキャラクター「くにニャン」を交えたフォトセッションとフォトコンテストも開催。同イベントはライブ配信も行い、SNS上では「コロナ禍での新しいスタイル」という声も見られた。駅舎のツイッターでも「80年間、鉄道駅として多くの人々を見守ってきた旧駅舎はこの日、新たな人生の始発を迎えた2人のプラットフォームとなりました」と祝福した。

 式を終えた2人は、祭壇に飾られたフラワーポットを「白十字」や「くにたち村酒場」などの店に配り、あいさつしながら友人たちと街を巡った。

 「このようなご時世の中、私事である結婚式を公共の施設で開催することに大きな不安を抱えていたが、関わってくださった全ての方々のお陰で杞憂(きゆう)に終わった」と早紀さん。「集まった方々の温かいな眼差しや大きな拍手に包まれ、私は私として生まれてきて良かった初めて感じた。夫との大切な思い出の街である国立の皆さまに恩返ししていきたい」とも。

 宏さんは「結婚をするしないは自由だが、すると決めたなら大切な門出。今後も結婚式を通じて、地域の中でプロ・アマにかかわらず仕事をしたい人、生きづらさのある人など、多くの人に仕事や関わりを派生させながら、人の思いが詰まった『作品』をプレゼントすることで、ここから続くカップルの人生にエールを与えていきたい」と意気込みを見せた。

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