立川で「江戸写し絵&説経節」-消滅した江戸映し絵を復元

「矢取りの段」小栗判官一代記より(2009年12月・八王子金剛院にて)

「矢取りの段」小栗判官一代記より(2009年12月・八王子金剛院にて)

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 アイムホール(立川市曙町2)で7月17日、「復刻 江戸写し絵&説経節」が開催される。主催は「語りを楽しむ会」。

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 江戸写し絵は、指や手を組み合わせ動物や物の姿を障子に映して遊ぶ手影絵遊びが起源。この手影絵遊びが200年前にオランダから伝えられた幻灯により変化し、ガラスに描かれた絵を『風呂』と呼ばれる映写機に入れて和紙に写し出し、映写機にいろいろな細工をして、今のアニメーションのようにキャラクターや背景が動いているように工夫して見せた。これが写し絵と呼ばれるストーリーある影絵に生まれ変わり、語りと音楽なども即興で合わせたものが江戸後期から明治時代にかけて行われた。

 写し絵は、江戸後期に発明され大正時代まで盛んに行われていたものの欧米文化の到来とともに滅び、残されていた資料や道具は災害や戦争でほとんど消失した。しかし、今回写し絵を手がける「現代影絵プロジェクト」のメンバーらが、現在残されている貴重な材料を長年に渡り収集し、復元し復活させたという。「昔の写し絵は落語や説経節などと共演していたが、すでに滅んでしまった芸能のため現在では演じられていなかった。ただ、八王子に伝わる都指定無形文化財でもある薩摩説経節家元の薩摩若太夫さんが所属する説経節の会では、以前から多摩地域に根強く残っていた江戸写し絵と説経節の公演を復活させようと尽力されていたところ、偶然わたしたちと交流するきっかけがあり一緒に公演するに至った」(現代影絵プロジェクト代表の田嶋学さん)。

 当日は、同プロジェクトが小栗判官一代記より「矢取りの段」の写し絵を上演。説経節は十三代目薩摩若太夫さんが、三味線を京屋惹さんが演奏。オープニングではラールカマラ萩平さんがインドの操り人形であるカトプトリを、横山洋子さんの語りによる「シャエの王女」を披露する。

 田嶋さんは「江戸写し絵の最大の魅力は、映画と違い毎回同じ物を流すのではなく、会場と一体となって演じるところ。郷土文化・芸能に興味のある方、影絵の好きな方、説経節が好きな方はもちろん、もともと日本の文化なのでぜひ大勢の方に見ていただき写し絵について知ってもらいたい」と話す。

 14時開演。前売り=1,000円、当日=1,500円。予約はTEL042-385-1744まで。

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