小金井公園江戸東京たてもの園(小金井市桜町3)で8月21日、「小金井薪能」が開催される。
小金井薪能は今回で33回目。「小金井在住の能楽師の津村禮次郎さんと津村さんの弟子で作家の林望さんが、30数年前に小金井公園の夜桜の下を散策しながら、こういう桜花月影のもとで薪能をやりたいと語りあったのがきっかけ」と話すのは小金井薪能広報担当の波多野さん。「その後市民の仲間がつどい、ボランティアで会を運営、多摩地区ではじめての薪能として1979(昭和54)年に初めて開催。以来、毎年1回開催しており、一流の演者と最高のロケーションでの本物の薪能は、夏の風物詩となっている」。
今回は、東日本大震災で亡くなられた方々への鎮魂の想いを込め、中国打楽器の世界的奏者である孟暁亮さんが「鎮魂」と題して演奏。能は津村さんや安田登さんによる「融(とおる)」。「今回の震災の被災地の一つでもある宮城県塩釜市が舞台の演目で、光源氏のモデルといわれた源融大臣がかつての塩竃を夢見て懐かしみ、舞いうたう演目で、亡き人の追悼の際によく上演される」と波多野さん。また狂言師で人間国宝の野村万作さんらによる「舟渡聟(ふなわたりむこ)」も上演される。
「今回は被災地から一時避難をしている方々を公演に招待することも予定している。そのほか、私たちも少しでも復興のお手伝いができればと考え、募金や物産販売などの企画を検討している」と波多野さん。「能楽に詳しい方やお好きな方にはもちろんだが、その他の、能は敷居が高いと思っていらっしゃる方や能をまだ見たことがない若い方たちにも楽しんでいただける、斬新な構成になっている。小金井公園の光華殿と夕日をバックにした自然の中のロケーションと雰囲気はとてもすばらしく心地よいので、ぜひ足を運んでいただきたい」とも。
17時30分開演。雨天時は中央大学附属高等学校講堂で開催。S席=6,000円、A席=4,000円、A席学生(小学生~高校生)=2,000円。チケットはJR国分寺駅、JR武蔵小金井駅、JR東小金井駅のみどりの窓口のほか、チケットぴあでも購入可能。