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国分寺のギャラリー「丘の上APT」で児島善三郎の展示-藤森照信さん設計

丘の上APTの外観。トタン片を一つひとつ手作業でとめていった。

丘の上APTの外観。トタン片を一つひとつ手作業でとめていった。

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 国分寺のアートスペース「丘の上APT」(国分寺市泉町1)で、オープン記念展「児島善三郎 国分寺時代の田園風景1936-1951」が6月21日から開かれる。

善三郎の国分寺風景

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 児島善三郎は日本を代表する洋画家で、1936(昭和11)年から15年間、アトリエを国分寺に構え、国分寺崖線に広がる田園風景などを描いた。丘の上APTのオーナーで児島の孫でもある兒嶋(こじま)画廊の兒嶋俊郎さんは「絵には当時の風が吹いている。(祖父にとって)一番充実した時代だったのでは」と話す。

 APTは「アート・パースペクティブ・テキスタイル」の頭文字。兒嶋さんは、これまで青山・銀座・六本木などで30年以上、画廊を営んでいたが、「人々の生活と芸術鑑賞が一体となった場をつくりたい」と善三郎の多くの名画が生まれ、その後も多くのアーティストが創作を行った地に拠点を移す。

 同ギャラリーを設計したのは、自然素材を生かした建築で注目を浴びる日本を代表する建築史家・建築家の藤森照信さん。丘の上APTと隣接する「チョコレートハウス」と呼ばれる銅板を使った兒嶋さんの自宅も藤森さんの設計。同ギャラリーの設計を藤森さんに依頼した理由を「藤森マジックの空間の独立性と周囲との協調性の両立に深い魅力を感じた。独特な浮遊感で、(これを実現できるのは)まれなこと。美術品を鑑賞する場としては絶好」と説明する。

 同展では、油彩画・水彩水墨画・デッサンの他、善三郎が身近に置いた品や写真などを展示し、当時の姿に迫る。「約70年前の美しかった緑の谷の風景を絵の中に発見していただき、あらためて開発や自然と人間との共生はどうあるべきなのかなどを鑑賞者の皆さんと一緒に考えてみたい。その調和された姿を絵の中に見いだした時の気持ちの高ぶりと心地よさがもたらす幸福感を共有できれば」と話す。2階ロフト部分は、特別企画展時を除いて、アトリエを再現するなど「善三郎記念室」として公開する。

 今後は絵画だけでなく藍染めの古布などを中心に企画展示する。「美しいものに身近に触れられる場所にいるという安堵(あんど)感、いつもと違う脳波が出て、近くに来るだけで笑顔になるような場所になっていければ」と意気込む。

 開催時間は12時~18時。月曜定休。入場無料。7月20日まで。初日はオープニングパーティーを開く(17時~19時)

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