立川シネマ・ツー(立川市曙町2、TEL 042-525-1237)で12月19日、故マイケル・ジャクソンさんのドキュメンタリー映画「THIS IS IT」のセカンドランが始まった。
国内限定のアンコール上映企画に当たり、16日深夜、同館のオリジナルサウンドシステム「KIC」を開発したサウンド・スペース・コンポーザーの井出祐昭さんによる音響プログラミングの再構成が行われた。映画の世界観をリアルに表現する建築音響と、メイヤー製のスピーカーを使用した電気音響を融合し、より自然で立体的にオーディエンスに伝える同システムの「リアルサウンド」を体感しに来館するリピーターの中には、遠方からのファンも多い。
同館広報担当の古川さんは、「マイケルさんのライブ・リハーサル映像がメーンとなる同作品は、映画鑑賞のための最上の環境を追求する当館にとって特別な作品だった。劇場でロンドンのステージを再現させるのが音響のシネマシティの使命と考えた」と話す。10月末の初上映の際に調整されたサウンドプログラミングに対して、「生々しい音が素晴らしかった」「他の映画館で鑑賞した時とは違う感動があった」など、メールや電話での感想が多く寄せられたという。今回井出さんが意識したのは「マイケル・ジャクソンという表現者の特徴である透明感のある歌声や、スタッフのエネルギー、愛などにフォーカスすること」だったという。
「前回のプログラミングは、自分の中で90点。あと一歩の正念場で最高の音響を追求し、フィルムの伝える精神エネルギーを遮らずに伝えるということを、音の振動など技術的な面と合わせて考えた」と井出さん。井出さんと同館スタッフによる夜を徹した調整作業によって完成された音響空間は、コンサート会場の音響システムがベースとなっている同システムの特性を最大限に生かし、ボーカルが際立つ繊細なサラウンドが印象的なプログラミングとなった。
「再上映にもかかわらず、19日の初日は多くのお客さまでにぎわい、新作をしのぐ勢いだった」と古川さん。「10月の公開当初は、リアルタイムでマイケルさんの音楽を聴いていた年齢層の方が多かったが、日が経つにつれ、家族連れや若いカップルまで客層がじわじわと広がっていった。以前に見たことがある方も、他の映画館では味わえない迫力と臨場感をぜひ当館で体験していただきたい」とも。
公開2日目となった20日は日曜日ということもあり、子どもから高齢者まで、幅広い年齢層の観客が訪れた。「日本でのツアーを楽しみにしていたというマイケルの遺志を、映画を通して実現できたらという思いもあるので、多くの方に深く広く味わっていただければ」(井出さん)。