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東村山の酒蔵で映画を楽しむ「夜蔵シネマ」-蔵の案内ツアーも

豊島屋酒造の敷地に入るとまず目に入る「金婚」の文字。蔵内を巡るツアーはここからスタートした。

豊島屋酒造の敷地に入るとまず目に入る「金婚」の文字。蔵内を巡るツアーはここからスタートした。

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 東村山の豊島屋酒造(東村山市久米川町3)で10月17日~19日、酒蔵で映画と日本酒を楽しむイベント「夜蔵シネマ」が開かれた。

仕込み蔵で説明をする豊島屋酒造営業部長の田中さん

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 1596(慶長元)年創業の蔵元「豊島屋酒造」の蔵を会場に、有坂塁さんと渡辺順也さんによる移動映画館ユニット「kino iglu(キノ・イグルー)」がセレクトした映画を上映する同イベント。主催は本多屋酒店(栄町3)。企画は東村山を拠点に街遊びの可能性を模索するグループ「ヒガシノヤツラ」。

 「ヒガシノヤツラ」の坂本さんは、「開催のきっかけは、メンバーで行っていた日本酒について調べ市内の試飲できる酒屋で勉強する『日本酒を学ぶヤツラ』という街遊び企画。その時に協力してくださった本多屋酒店での試飲会や、地元の酒蔵・豊島屋酒造の『蔵開き』へ参加する中で、酒もおいしく、蔵のスタンスもオープンで、熱量もすごい酒蔵が市内にあることを実際に知り、知らない人に教えたくなった」と話す。

 20~70代まで幅広い層からの申し込みがあったという同イベント。18日には、2倍以上の倍率から抽選で選ばれた26人が集まった。参加者が、同蔵の酒「屋守(おくのかみ)」に使われる「八反錦」の麹(こうじ)を試食しながら心待ちにする中、蔵内の案内ツアーから同イベントがスタートした。

 ツアーでは、同蔵営業部長の田中孝治さんが案内役を担当。米を蒸す「釜場」、「仕込み蔵」、熟成させる「土蔵」など、酒造りの行程に沿い蔵内を進んだ。醸造タンクの上から中を見学した際には参加者から歓声が上がったほか、田中さんのユーモアあふれる解説に参加者から笑い声が起こる場面もあった。

 ツアー後、参加者が仕込み蔵に戻ると、ツアー中はなかったスクリーンが出現。参加者は、タンクの縁や床の上など思い思いの場所に座り、日本酒の発酵する甘い香りが漂う独特の雰囲気の中、酒にちなんだ映画や酒がおいしくなる映画など、世界各国の短編8本を楽しんだ。

 上映会後に行われた懇親会では、「十右衛門 おりがらみ」や「金婚 純米大吟醸雄町」「屋守 純米生詰め」など同蔵の酒4種に加え、仕込みに使う水をチェイサーとして用意。つまみは、国分寺のオーガニックカフェ「カフェスロー」を経て料理教室やケータリング等で活動中の料理家・安田花織さんが手掛けた10品。「いつもとは違う新しい食べ方を発見してもらえれば」という安田さんの思いを込め、カツオや柿、化石塩、みそなど「組み合わせを楽しめる」品が並んだ。

 秋津から参加したという日本酒好きの夫婦は「以前から、豊島屋酒造に来てみたいと思っていたので参加できてうれしい。蔵の中という現実離れした雰囲気がよかった」とにこやかに話した。目黒区から友人と一緒に参加したという映画好きの女性は「映画はもちろんのこと、話も面白く、お酒もおいしい。とても楽しかった」と笑みがこぼれた。

 「参加された方が豊島屋酒造の酒を楽しんで、それぞれの日本酒の楽しみ方を広げてもらえれば。そして、また豊島屋酒造に遊びに来ていただければ」と坂本さん。「日本酒に限らず、このイベントのどこかに感動して帰ってもらえたらうれしい」とも。

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