「第18回岡本太郎現代芸術賞」の授賞式が2月2日に行われ、国分寺市在住の江頭誠さんの霊きゅう車形の作品「神宮寺宮型八棟造」が特別賞を受けた。
岡本太郎現代芸術賞は、大阪万博の「太陽の塔」などで知られる美術家の岡本太郎の精神を継承し、自由な視点と発想で現代社会に鋭いメッセージを突き付ける作家を顕彰するために1997年設立された。今回は672点の応募があり、27作家が入選、その中から岡本太郎賞1点、岡本敏子賞1点、特別賞4点が決定した。
江頭さんは1986年三重県生まれ。2011年に多摩美術大学を卒業し、現在国分寺市在住。受賞作について江頭さんは、「おそらく日本のどこの家庭にもある花柄の毛布を使って霊きゅう車を制作することで、単に遺体を乗せるだけではなく、故人の歴史や家族の存在を感じさせる温かい寝台車であることを念頭に制作した。毛布と霊きゅう車に共通する『寝る』こともコンセプトにしている」と話す。
5人の審査員のうちの1人、美術史家で明治学院大学教授の山下裕二さんは「宮型の霊きゅう車はドメスティックだが、ボディー自体はアメリカ車という不思議な存在だ。花柄の毛布も外国にはない。ドメスティックとはどういうことなのかという問い掛けを込めて、周到にきちっと作り上げている」と高く評価した。
小平市在住で武蔵野美術大学1年生の吾妻吟さんは、同賞史上最年少の19歳で入選した。入選作「圭介」は、自らが書いた小説「圭介」を掲示し、そこに展開する場面や題材を平面や立体で再現して「フィクションをノンフィクションにした」(吾妻さん)作品。小説を取り込んだ作品の入選は初めて。
入選・受賞作は、川崎市岡本太郎美術館(神奈川県川崎市)で4月12日まで展示される。開館時間は9時30分~17時。月曜休館。入館料は一般600円、高大生・65歳以上400円。