小平で3月14日、公民館と図書館の機能を一体化した生涯学習施設「なかまちテラス」(小平市仲町)がオープンした。
設計は妹島和世建築設計事務所(江東区)が担当。「気軽に訪れることのできる公園のような施設」をコンセプトに、1階部分は調理室やカフェラウンジなどガラス張りの部屋が独立し、利用者以外も中の様子を見ることができる。「部屋が分かれることで人々の活動と庭が混ざり合い、寄り添うような建物に」と妹島さん。993平方メートルの敷地に地下1階、地上3階建て延べ1454平方メートルの建物で、1階と2階は2施設の空間が混在し、講座室の空き時間には読書室として利用できるなど複合施設の特長を生かす。蔵書数は約3万冊で、閉架書庫と合わせると約7万冊。
ブースごとに異なる椅子も妹島さんが「気持ちのいいものを」と選んだもので、金沢21世紀美術館(石川県)など妹島さんが手掛ける他施設で使われているものも。カフェは市内の社会福祉法人「ときわ会」(小川町2)が運営し、市外在住者も利用できる。市内で初めてデジタルサイネージ(電子看板)も3台導入し、館内の紹介のほか、市内の魅力を紹介することで観光の拠点を目指す。ICタグによる自動貸出機やWi-Fi環境の整備も。「来て楽しかったと思ってもらえ、皆が来たくなる楽しい場所をつくっていきたい」と仲町図書館担当係長の上田さん。
13日には同館のホールで記念式典が開かれ、市長や教育長を始め約70人が出席した。「ルネこだいら」(美園町1)では妹島さんによる記念講演会「Gathering Space」が行われ、抽選で選ばれた約400人が参加した。この10年で手掛けた施設の紹介を通じ、「人が集まり新しい可能性を生みだす建築を」というなかまちテラスに共通する思いを語った。「なかまちテラスも公民館と図書館の複合施設という新しい形のもの。新しい可能性を感じながら使ってもらえれば。緑が多いというのがこの場所の強い印象。敷地内の緑をこれからもっと増やしていきたい」とも。
仲町公民館担当係長の紅さんは「なかまちテラスの魅力は建物だけではない。『みんなでつくる、みんなのなかまちテラス』を合言葉に、地域住民や小中学校、大学生、地元商店会の方々と約8カ月をかけて中身をつくるなど開館前から地域と共に成長してきた。今後ますます多くの方になかまちテラスのもつ可能性を生かしてもらえれば」と話す。
開館時間は、公民館=9時~22時、図書館=9時~17時(祝日でない火曜・水曜は9時~20時、金曜休館)。共に第3木曜、年末年始、特別整理期間休館。