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立川在住の松岡学さん、VOCA佳作賞を受賞-原風景テーマの「光の塔」

松岡学さんとVOCA佳作賞受賞作「光の塔」

松岡学さんとVOCA佳作賞受賞作「光の塔」

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 絵画や写真などの平面作品に取り組む若手作家を支援する「VOCA展2015」の授賞式が3月13日に行われ、立川市在住の松岡学(がく)さんの「光の塔」が佳作賞を受けた。

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 全国の美術館学芸員、研究者、ジャーナリストらが推薦した40歳以下の作家による新作を出品する同展は1994年に設立され、今年で22回を数える。これまで、村上隆さん、奈良美智さん、蜷川実花さん、清川あさみさんら延べ754人が出品し、若手現代美術家の登竜門といわれている。今回は34作家が出品し、その中からグランプリのVOCA賞1人、奨励賞2人、佳作賞2人、大原美術館賞1人が決定した。

 松岡さんは、1988(昭和63)年富山県生まれ。現在、立川市在住。2014年武蔵野美術大学大学院・日本画コースを修了し、修了制作展で優秀賞を受賞している。今回の受賞作は、故郷にある工業用のタンクを墨や岩絵具、銀箔(ぎんぱく)などの画材で正面から描いたもの。「自分の原風景を光として捉え、素直に表現した」という。

 今は使われなくなった構造物をテーマとして制作を続けてきた松岡さん。「年月がたつことで次第に現れてくる物が持つ力を廃虚に感じる。昨年の3月に大学院を出たばかりなので、受賞はかなり励みになった。これを機に、作品を変容させていけたら」と意欲を語った。日頃は、自宅のある立川はもとより、東大和市の都立東大和南公園の機銃掃射の痕が残る旧変電所や、国分寺駅再開発で取り壊される直前の古い家屋などもスケッチし、作品に生かしているという。

 選考委員長で大原美術館館長の高階秀爾さんは「『光の塔』としながらも影の塔でもあり、堅固な構造物でありながら不安定な感じもする。その対比がうまく表現され、終末の予感をはらんでいる」と述べ、選考委員で多摩美術大学教授の本江邦夫さんは「造形性や岩絵具の持つ物質感を前面に打ち出し、潔い。平面で何ができるかを、緊張感を持って考えている」と高く評価した。

 「VOCA展2015」は東京の上野の森美術館(台東区)で開催中。開館時間は10時~18時。会期中無休。入館料は一般・大学生500円、高校生以下無料。3月30日まで。

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