立川市在住でろう者の登山家・田村聡さんが6月8日、立川市役所に清水庄平市長を訪ね、世界最高峰・エベレストの登頂成功を報告した。
田村さんは1965(昭和40)年生まれ。生まれつき聴覚に障がいを持つ。山好きの父と叔父の影響で13歳から登山を始め、2000年には日本百名山全山を登頂。モンブラン(4810メートル)、ヒマラヤのアイランド・ピーク(6160メートル)やチョ・オユー(8201メートル)など、海外の高峰の登頂も果たし、登山家として経験を積んできた。
「エベレスト登頂は、高校生の時、新聞で日本山岳会が世界初・北壁からの登頂に成功したという記事を見て感動し、自分もいつかここに登りたいと思ったのがきっかけ。世界最高峰の山に行きたいと思った」と田村さん。念願がかない、初挑戦となった2014年は強風のためやむなく撤退。翌2015年の挑戦ではネパール地震発生のため途中で断念した。
3回目となる今回は、頂上アタック時に酸素マスクのトラブルがあり、酸素供給不足で苦しい登頂となったが、ネパール時間の5月21日7時15分、快晴の頂上を制覇した。「他の山が低いなと思った」と笑顔を見せる田村さん。「雲海が広がり神秘的だった。オレンジ色の朝日がとてもきれいだった」と振り返る。田村さんによると、聴覚障がい者としてはエベレスト世界初登頂となるという。
8日、市長室を訪ねた田村さんは、エベレスト頂上で撮影した写真のパネルと、登頂時持参していたという立川市の公式キャラクター「くるりん」のハンドタオル、ステッカーを清水市長に進呈。手話通訳を介し、登頂時の様子などを報告した。清水市長からの「立川の子どもたちに、ぜひこの経験を披露してあげてほしい」という依頼には、「皆さんに勇気を持てばできるということ、頑張ることを伝えたい」と笑顔を見せた。
今後は「まだ登ったことのない7000メートル級、8000メートル級の山へチャレンジしていきたい」と田村さん。