小金井の「仕立てとおはなし処Dozo」(小金井市関野町2)で6月18日から、木版画家・横山尚さんの個展「横山尚 木口木版画展『木の中のものがたり』」が開かれる。
同店は、世界各地から「ものがたり」を見つけて「紡いで語って届ける物語屋」と、着物の仕立てを行う「仕立て屋」の拠点として今年4月にオープン。「珈琲屋台 出茶屋」をはじめ、農家「金菜屋」、パン店「ファンタジスタ」(梶野町5)も定期的に出店し、コミュニティースペースとしても利用されている。
横山さんは5歳のころから板目木版の版画制作を始め、2010年から木の幹の断面に絵柄を彫ってするイギリス発祥の技法「木口木版画」で版画制作を手掛ける一方、版画を加工した雑貨の制作を始めた。横山さんは「身の回りのものを作るのが好きで、自分にしか作れないものは何かと考えたときに、木版画を加工して商品にしてみようと思った。販売を始めてみると『木口木版』という版画技法やその作品の魅力を知って身近に感じてもらえるきっかけになっている」と話す。
木版画家として、これまで日本版画会展に入選するなど数々の賞を受賞。2012年から小金井を拠点にする。雑貨作品はこれまで「ヨコハマハンドメイドマルシェ」や「くにたちハッピーマーケット」などに出品。現在は「版画と雑貨の店hisari」として、奈良の器と雑貨の店「器人器人」での委託販売や毎月第1日曜に市内で開催される「こがね市」に出店するほか、インターネットでも販売する。
同展は横山さんの初めての個展。「本格的に木口木版の制作を始めて5年目で個展はまだ早いかという気もしたが、作品を通して表現したいことが徐々に見えてきたこともあり、自分の世界観を一つの空間で表現してみたくなったのが大きなきっかけ。その空間をつくるのにとても相性のいい人と場所に出会えたことも後押しとなった。会場では、私の頭の中を少しのぞいてもらうと同時に、木口木版の作品や制作過程、その作品のいろいろな可能性などを知っていただるとうれしい」と話す。版画作品や道具展示のほか、版画和紙を使った照明やアクセサリーなどの展示販売も行う。
18日と26日の15時30分~16時には横山さんによるすりの実演、21日18時からは小さなパーティー「灯の小宴」(事前申し込み)も開催。パーティーでは物語屋による朗読「木の中でものがたりが動きだした~ hisari story」も。
「会場全体が作品となるように、空間に合わせた作品作りをしている。小さな個展だが、庭と縁側のある懐かしい雰囲気の平屋でのんびりとした雰囲気の中、『木の中のものがたり』の世界を楽しんでいただければ」と呼び掛ける。
開催は10時~18時。6月26日まで。