西国分寺のカフェ「クルミドコーヒー」(国分寺市泉町3、TEL 042-401-0321)を運営する「フェスティナレンテ」(同)が現在、国分寺駅北口で新店(本町2)オープンの準備を進めている。
同店店主で同社の影山知明さんは「2つ目の店はずっと作りたいと思っていたが、クルミドコーヒー開業時とは自分もスタッフも世の中もお客さんも変わっているので、いま自然とエネルギーが向かうものに取り組みたいと思った。(店のシンボルの)クルミが芽を出してから実をつけるまで10年かかるように、8年半の時間を経て隣の町に実が落ちて次の芽が育っている」と話す。
新店はカフェ・書店・仕事場の形態を併せ持ち、これまで同店で行ってきた取り組みに本格的に着手する。店内に製本機能を備え、書店には「ケーキを一つ一つ作るように」自分たちで作った本を並べ、古本業も行う。仕事場には上質な紙と鉛筆を備え、「PCを閉じて自分と向き合う場所にしてほしい」とも。全体のテーマを「足元を見つめ直す」とし、日本の暦や国分寺の食材など自分たちの足元にあるものへの敬意を持ちながらオリジナルを生み出していくという。
建物は同店が設計に携わり、三差路に位置する築40年の2階建てを家主が建て替えた。「ふらっと立ち寄れる内のような外のような空間で街とつながりたい。街の新しい顔になるような店を目指し、周辺地域を巻き込んで街を盛り上げたい」と意欲を見せる。床面積は1階=73.39平方メートル、2階=77平方メートルで、計150.39平方メートル(現店舗の2.3倍)。3月下旬にオープンを予定する。
「新しい経済や社会、お金の流れを作りたいと考えている。個人の顔が見えてつながれるクラウドファンディングにもいつかチャレンジしてみたいと思っていた」と影山さん。かねてより経営に携わっている「ミュージックセキュリティーズ」(千代田区)の少額投資プラットフォーム「セキュリテ」で「クルミドコーヒーファンド」を設立し、新店の開業資金支援を呼び掛けている。
3,603万円の調達を目指し、出資額の返済割合に応じて3種類のファンドを用意する。1口3万2,400円で、期間は7年。全額寄付タイプは一晩で目標額75万円を達成した(現在、新たに募集準備中)。影山さんは「寄付をしてくださる方がこれほどいることに驚いた。ただ、ちゃんと返したいという思いもあり、7年ドキドキを共有しつながっているという関係にも非常に魅力を感じる。店を一緒に作り育てる喜び、大変さを味わってもらえれば」と呼び掛ける。特典は経営報告会やクルミ収穫ツアーへの参加(定員あり)など。
1月19日には新店とファンドの説明会が同店で開かれ、同店のファンや影山さんの著書の読者など約30人が駆け付けた。「大好きな店を応援したいと思った」と話す人もおり、影山さんの思いやファンドの説明を熱心に聞き入っていた。