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国立市在住の鈴木基真さん、「VOCA」奨励賞を受賞

鈴木其真さんとVOCA奨励賞受賞作「Ghost #4」

鈴木其真さんとVOCA奨励賞受賞作「Ghost #4」

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 絵画や写真など平面作品の分野で国際的に通用する若手作家を支援する「VOCA展2017」の授賞式が3月10日に行われ、国立市在住の鈴木其真(もとまさ)さんの作品「Ghost #4」が、奨励賞を受賞した。

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 全国の美術館学芸員、研究者、ジャーナリストらが推薦した40歳以下の作家による新作を出品するVOCA展は1994年に設立され、今年で24回を数える。若手現代美術家の登竜門といわれ、これまで村上隆さん、大竹伸朗さん、やなぎみわさん、蜷川実花さん、清川あさみさんら延べ821人が出品している。今回は35作家が出品し、その中からグランプリのVOCA賞1人、奨励賞2人、佳作賞2人、大原美術館賞1人が選ばれた。

 鈴木さんは1981年静岡県生まれ。2004年、武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒業。現在、国立市在住。受賞作は、木造住宅の玄関部分を粘土で作った立体を写真に撮ってライトボックスにはめ込んでいる。「普段は彫刻家として制作しているが、もともと映画や動画やゲームなどのモニター上のカルチャーに興味があり、彫刻を平面に戻したいという意識があった。そうした自分自身の彫刻の問題を解消しようとした時に出てきたのがライトボックスの作品だった」という。静止画だが、動いて見えるような表現を目指し、抽象絵画の見えるドアの窓からの光がポイントとなっている。

 選考委員長で多摩美術大学学長の建畠晢さんは「粘土で作った模型はリアルで濃厚な雰囲気をたたえているが、写真に撮ることで物質感が全部なくなってしまう。それをさらにライトボックスに仕立てて光の現象にすることで生々しさが浮き上がってくる。ある種のドラマ性をたたえた空間に仕立てる力量がすごい」と述べる。選考委員でDIC川村記念美術館学芸課長の光田由里さんは「粘土で作った彫刻と等倍の写真という点がすごく面白いと感じた。写真と彫刻はデジタル時代の現代においてシームレスにつながっているところがある。イメージの流動性が中に仕掛けられ、絵画、写真、彫刻のメディア横断を批評的に行う視点がうかがえる」と評する。

 「VOCA展2017」は上野の森美術館(台東区)で3月30日まで開催。開館時間は10時~18時。会期中無休。入館料は一般=600円、大学生=500円、高校生以下無料。

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