たちかわ電子図書館に7月、地元の企業「壽屋(ことぶきや)」(立川市緑町4)が寄贈した電子書籍を集めた「コトブキヤ・プレゼンツコーナー」が開設された。8月1日でサービス開始から1カ月がたった。
この取り組みは、プラモデルやフィギュアなどの企画・開発・製造・販売を行う同社が、同館に対して電子書籍コンテンツの費用を寄贈するもので、寄贈総額は270タイトルの約100万円相当。
立川市は、今年3月の「東京立川こぶしロータリークラブ」からの申し出に続き、複数の民間団体から電子書籍コンテンツ費用負担の申し出を受けることになり、公共図書館の電子図書館事業において全国初の事例となる。
1953(昭和28)年に玩具店として創業した同社は2016(平成28)年、立川中央図書館のそばに移転し、本社とショップを構える。立川市図書館の池田朋之館長が、少年時代に立川第一デパートにあった玩具店「コトブキヤ」に通っており、親しみを感じていたことから相談を持ち掛け、立川市の文化・スポーツ分野を応援したいという同社の思いと重なり、今回の取り組みが実現した。
提供する270タイトルは、プラモデルやフィギュア等の企画や開発など「ものづくり」に関わる社員を中心としたメンバーが選書。これまで同館での電子書籍の蔵書が少なかった、デザインやイラスト、造形、模型工作、ライトノベルなどのコンテンツの充実、中高生など新たな読者層の広がりが期待される。
同コーナーのチラシデザインも手掛けた同社デザイナーの北岸ふようさんは「UVレジンでかんたんおしゃれ!ちょっと大人のアクセサリー&小物(レディブティックシリーズ)」「マイナビ文庫 くらしを彩る 日本の伝統色事典」をセレクト。
幼少期より作ったり描いたりすることが好きだったという北岸さん。「最近は樹脂粘土やレジンなどのクラフト素材が100均でも売っていて気軽にチャレンジできるので、作る楽しみを知っていただければ」と話す。「長年デザイナーをやっているが、色を知ることは大変勉強になる。色の成り立ちなどを知ることでデザインの幅も広がる」とも。
「実際の専門書などは高額なものも多く二の足を踏みがちだが、電子図書館なら『お試し』で新しい分野の知識に触れることができる。積極的に活用いただければ」と利用を呼び掛ける。