公益財団法人鉄道総合技術研究所(国分寺市光町2)の「車両試験装置」が8月7日、一般社団法人日本機械学会が日本国内に現存する機械技術面で歴史的意義のある遺産として認定される「機械遺産第108号」に認定された。
この装置は1959(昭和34)年、同研究所の前身である旧国鉄が動力近代化や高速化のために走行状態を研究するために設置されたもの。鉄道車両の車輪の下にレールを模擬した円盤状の軌条輪を配置し回転させ、定位置で高速走行を模擬することができる。上下方向に加振する機能も備え、一車両で時速250キロ、台車単体では時速350キロまでの試験が可能。車両の高速走行時の安定向上など各種性能確認試験に活用されてきた。
この装置による試験結果は、東海道新幹線用試験台車や山陽新幹線用試験電車の試験にも使用され、新幹線の開発に大きく貢献した。1990(平成2)年に、更に高速な最高速度500キロのさらに高速車両試験装置に主要な試験を譲ったものの、現在も電車のインバーター試験などに現役で稼働している。
機械遺産認定について、同研究所総務部広報課長の臼田隆之さんは「世界に誇る新幹線の開発などに大いに貢献したこの試験装置が認定されてありがたく、大変光栄」と話す。
同研究所は1986(昭和61)年に設立され、1987(昭和62年)、JR各社発足と同時に、日本国有鉄道が行っていた研究開発を承継する財団法人として本格的な事業活動を始めた。2011(平成23)年には公益財団法人へ移行。車両、土木、電気、情報・通信、材料、環境、人間科学など、鉄道技術に関する研究開発を行い、鉄道の発展と学術・文化の向上のために活動している。
コロナ以前は「平兵衛まつり」として一般公開もしていた同研究所。「日々の研究を通して、革新的な技術を創出し、鉄道の発展と豊かな社会の実現に貢献していきたい」と意気込む。