まんまる助産院 (立川市若葉町2)院長の椎野まりこさんが8月、妊娠中の食事法についての本「妊娠中は肉を食べなさい!」(秀和システム)を出版した。
同院が勧める肉を中心とした「妊娠中の体をつくる食事法」について、エビデンスに基づいた食事法、3ステップの肉レシピをイラスト付きで紹介するほか、我慢や不安になりがちな妊娠中の気持ちの向き合い方についても触れる。
同院は病院と異なり、「自然の陣痛で出産できる妊婦」だけが出産できる場。妊娠中は提携病院と並行しながら通院し、出産時は投薬などの医療行為は行わず、妊婦は自分自身の力で出産する。昔は当たり前のように行われていた自然出産も、現代の日本では早産や微弱陣痛など、妊娠中や出産時に医療介入を必要とすることも多く、「自然に任せて出産することは超難関大学に合格するような狭き門」と椎野さんは話す。
「自分で産める体づくり」に奮闘する中、現代の女性たちの糖質過剰、低たんぱく低脂質、鉄分不足の食生活に疑問を持った椎野さん。医師による食事指導の勉強会に参加したり、自分で試したりしながら、5年前から妊婦への肉食中心の食事指導や調理実習を行うようになった。
「正解不正解ではなく、ただ妊婦さんが健康で、健康な赤ちゃんが生まれることを追求してきた。食事はその手段の一つ。この本を読んだ方も、ねばならない、ではなく、自分の意志で選べるように気持ちの面についても丁寧に書いた」と話す。
出版のきっかけは、2人目を同院で出産したライターで編集者の大場敬子さん。第2子を同院で出産し、「衝撃を受けた」経験を多くの人に伝えたいと知人のいる出版社に企画書を持ち込んだ。大場さんは「妊娠も出産も育児も初めて。第1子の時は病院で出産後、何も分からぬまま育児が始まり、実家も遠くワンオペ育児で本当に大変だった。第2子を授かった時、何かを変えなければまた同じ思いをすると助産院を訪れた」と振り返る。
第1子出産時の不安からクヨクヨしていた大場さんだが、院長と話すうちに前向きになり、「周りに助けがないなら自分が健康でいなければ」と、同院の「安産学校」で健康や食事法を学んで実践。2時間半で出産し、産前産後も元気に過ごすことができたという。「どの妊娠の本にも書かれていない考え方に衝撃を受け、この経験は妊婦さんや産後のお母さん、全ての人に役立つかもしれない。コロナ禍で不安な妊婦さんにも元気になれるレシピを本にしたいと思った」と大場さん。
同書では、妊娠期の気持ちや栄養、食材選び、妊娠期のトラブルなどについてのコラムのほか、3ステップのレシピをインスタグラムで人気のTamyさんのイラスト入りで解説。「忙しい妊婦さんも無理なく作れるように工夫した。コロナ禍で妊婦さんは何かあったらと不安でいっぱいだと思う。毎日の食事を、体にいいものにして、免疫力を付けて元気な赤ちゃんを産む助けになれば」と期待を込める。
価格は1,650円。