食房と茶房、全室かけ流しつき温泉の宿坊を備えた1日4組の宿泊施設「Auberge TOKITO(オーベルジュときと)」(立川市錦町1)が4月6日、西国立駅そばに開業した。
2019年に閉業した老舗料亭「無門庵(むもんあん)」の跡を、立飛ホールディングスと、「ソラノホテル」を経営する立飛ホスピタリティマネジメントが開発した。同社取締役の坂本裕之さんは「戦時中は航空兵の宿泊施設で、地域の人にとっても思い入れのある場所を、なくすのではなく、いかに生かせるかを考えた」と話す。木や石、庭園、建物の一部を生かしながら、ソラノホテルと「静と動」「陰と陽」イメージを対比して作り上げたと言う。
施設は宿房・食房・茶房で構成。宿坊は広さ106平方メートル。食房は、宿泊者優先のカウンター席10席のほか、宿泊客以外も利用できるホール席22席、個室3室、離れの宴会場(最大20人)を備える。茶房はアフタヌーンティーやバーとして、宿泊客以外も利用できる。
オーベルジュは、料理を中心とした宿泊施設。開業に当たり、総合プロデューサー・総料理長の石井義典さんを中心に、総支配人 料理長の大河原謙治さん(以上、ミシュランスターシェフ)、料理長の日山浩輝さんらがイギリス・イタリア・京都など各地から集まった。
石井さんは「京都吉兆」出身、ロンドンの懐石料理店「UMU(ウム)」で総料理長として欧州の日本料理店としては初のミシュラン2つ星を獲得。5年間2つ星を維持し、在英20年間を経てチャレンジの場所として「ときと」を選んだ。石井さんは「京都など既に知られた土地ではない、立川という日本の東側から発信することに興味が沸き帰国した。料理人各自が特技を生かしてチームとして作り上げていきたい」と意気込む。
食事は、コースメニュー(カウンター席=6万3,250円~、ホール席=3万1,625円~)、茶房アフタヌーンティー(7,590円~)を用意。宿泊料(開業記念特別プラン)は34万2,250円~(2人利用夕・朝食付き)。「国内、アジア・欧米諸国の富裕層を見込んだ価格帯だが、地域の方や、この地に思い入れのある方にも茶房や食事をお楽しみいただければ」と坂本さん。
施設名「ときと」は「時」と「鴇色(ときいろ)」に由来する。大河原さんは「時間によって変わる空の色のように、料理人が個々の色を表現して、立川だからこそできる、この地から世界に羽ばたくオーベルジュを作りたいと思っているので、支援いただければ」と呼びかける。