国立の洋館「旧高田邸」、10日間の解体前さよならイベント

3月末に解体される「旧高田邸」

3月末に解体される「旧高田邸」

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 国立市で3月8日から、85年の歴史を持つ洋館「旧高田邸」(国立市中1)のさよならイベントが開催される。

「昭和モダンなりきり写真館」

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 3月末に解体される「旧高田邸」は、1929(昭和4)年の国立大学町都市開発初期の住宅で、当時の街の様子を今に伝える貴重な文化住宅の一つ。 家主の医師・高田義一郎さんは、一橋大学(当時は東京商科大学)と滝乃川学園の校医でもあり、多数の書物を著した文化人だった。 木造2階建ての「旧高田邸」は、ライト風とモダニズムという大正末期から昭和初期の時代性が意匠に色濃く表現されているという。建物には鉄筋コンクリート造りの地下書庫、全館スチーム暖房設備も整っていた。

 旧高田邸プロジェクト実行委員会代表の加藤さんは「解体までの時間の中で、少しでも多くの方にこの建物の存在を知ってもらい、記憶にとどめてもらいたいとの思いから、10日間のさよならイベントを企画した。当初は建物の価値や、国立大学町との歩みの紹介を考えていたが、高田氏は、明治から昭和にかけて生きた医師であり、数多くの書籍を残した文筆家であることが分かった。著書は医学や文学、ユーモア、エログロと呼ばれるものまで多岐にわたり、何より読み手を引きつけるものがあった。そこで高田氏にも焦点を当てた企画を用意することにした」と話す。

 8日はプレイベントとして「旧高田邸」から滝乃川学園までを歩く「くにたち歴史まち歩き」、16日は古くから同市に住む人から話を聞く「あの頃のくにたちに帰る会」、17日は「建物調査解剖トーク」などを開く。16日~25日は常設展として、建築の専門家による詳細調査の結果を報告する「旧高田邸解剖図展」、高田さんの業績や著書等を紹介する「モダニスト高田義一郎展」、当時を振り返る「国立大学町写真展」が展示される。期間中、平日には、「昭和モダンなりきり写真館」やSP盤レコード鑑賞会などのイベントも行う。21日・22日は「ゆる市」を開く。

 「最後に少しでも多くの人の記憶に残るよう、当時の暮らしや文化、建築を振り返るイベントを企画した。ぜひ来場いただき、一緒に旧高田邸でのひと時を共有できたらうれしい」と加藤さん。

 開催時間は10時~19時。

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