立川市立第六小学校(立川市羽衣町2)で11月21日、銭湯背景画絵師・丸山清人さんを招き「銭湯絵教室」が開かれた。
立川の小学校で「銭湯絵教室」 最年長絵師・丸山清人さんと富士山描く
同校では2年前から、地域について学習する「立川市民科」の授業の一環として、地域交流の場ともなってきた銭湯について学ぶとともに、学年を超えて銭湯文化を伝える活動に取り組んでいる。今年は3年生がメインとなって銭湯学習に取り組み、2年前に授業を通して知り合って以来、交流を深めている丸山さんを招いた。
会場となった体育館には、3年生55人のほか、他学年のクラスや教諭、保護者や地域の住民らが集まった。昭和歌謡が流れる中、丸山さんが軽妙な筆さばきで白いアクリル板に富士山を描いていくと、「マジックみたい」と歓声を上げる児童も。休み時間も熱心に見学する児童らに「これは水彩画と違ってペンキで描いているんだよ」などと解説しながら、丸山さんは富士山の絵を完成させた。
絵描き体験の時間では、児童や保護者らが富士山の絵に挑戦。丸山さんが児童らに声を掛けながら、時には筆を入れて絵の描き方を指導すると、子どもたちからは「丸山さんはあっという間にきれいに描くので、すごい」「描いている時の真剣な表情がかっこいい」などの感想が寄せられた。
学年主任の溝越勇太教諭は「今日のイベントを地域の方々に知っていただくため、手描きのポスターを近隣の商店街に配布した」と児童らの積極的な取り組みについて説明。小林邦子校長は「日本で3人しかいないといわれる銭湯絵師の最年長の方に直接教えていただけるという貴重な機会に感謝している。銭湯の魅力を伝える児童たちの活動を通じて、地域とも交流できる良い取り組み」と話す。参加した保護者からは「子どもたちが楽しんで取り組めるプロジェクト。六小の伝統イベントとして根付いてほしい」との声も。
丸山さんは1935(昭和10)年生まれの84歳。「これまでに何枚ぐらいの銭湯絵を描いたのか?」という児童の質問に「25歳で独立してから1万2000枚ぐらい」と答えた。世界遺産に登録されて以来、富士山を描いてほしいというオーダーが特に増えたという。「みんな元気でいいね。銭湯の富士山を子どもたちに描いてもらえるなんて、こんなにうれしいことはない」と笑顔を見せた。