国分寺かいわいの飲食店などが参加し、地域通貨「ぶんじ」を発行しているプロジェクトが、新型コロナウイルスの影響で経営に苦労している店への寄付を呼び掛け、寄付をしてくれた人に「ぶんじ」をお礼として贈る取り組みを行っている。
地域通貨「ぶんじ」は、2012(平成24)年9月に街のイベントをきっかけに始まり、現在使える店は35カ所ほど。これまでの7年半で、100ぶんじ(=100円相当)=1万7000枚、500ぶんじ=1000枚が発行された。「ぶんじ」は、カード型で裏面にメッセージを書き込めるようになっており、店への感謝の言葉が書き込まれ、思いが街を巡る仕組みになっている。
同プロジェクトの発案から関わる企画メンバーの一人で、今回の取り組みにも中心的に関わっている、クルミドコーヒー、胡桃堂喫茶店店主の影山知明さんは、「テークアウトや通信販売などにも取り組む店もあるが、残念ながらその売り上げは通常営業の1、2割ほど。一方、家賃や厨房機器のリース料、借入金の返済、税金などは容赦なく迫ってくる。小規模経営の場合、経営者の家計と直結しており、生きていくことそのものの基盤が揺らいでいる」と店の経営者の苦労を語る。
プロジェクトの参加店のうち寄付金の分配先となるのは、新型コロナウイルスの影響を直接受ける飲食店や施術業を中心とした11店舗のみ。
「自分の店は大丈夫なので、寄付金の分配からは外れたいという店が何店舗もあった。実際には楽ではないはずなのに、その気持ちがうれしかった。今回寄付を受け取る店も、応援してもらった分だけ、いずれ街に返したいという気持ちに自然となる。こういう贈り合いの循環が、街の経済を温かなものにしてきたし、これからもしていくと思う」と影山さん。
「参加店はこれまでも支え合い、助け合ってきたので、それぞれの店が『自分たちだけが生き残れればいい』という感覚はない。街が死んでしまえば個々の店も生き残れない、僕らの経済はそういう成り立ち方をしているということを広く知ってほしいという気持ちもあった」とも。
「応援してくださった方には、『500ぶんじ』をお渡しする。新型ウイルスが少し落ち着いた頃、その『ぶんじ』を持って街に遊びに来ていただき、その温かな街の経済を体感してもらい、一緒に仲間になってもらえたら」と寄付を呼び掛ける。
寄付は4月30日まで、クラウドファンディング・プラットフォーム「セキュリテ」で受け付ける。