柴崎体育館駅そばに9月22日、パン店「loro bakery(ロロベーカリー)」(立川市柴崎町4)がオープンした。
同店は立川駅南口の「カフェソブ」(柴崎町)の姉妹店。「小麦の香りにこだわった」というフランス産の小麦粉や全粒粉を配合したバケット2種をメインに、「いい朝になるように」と、バターをたっぷり配合した食パン、ブリオッシュ生地のクリームパンやシナモンロール、チーズケーキなどの洋菓子が木製のカウンターに並ぶ。
店主の秋吉一平さんは「イタリアンや洋食など、飲食店をやってきた自分たちならではのパン屋を作りたかった」と話す。朝の食パンに始まり、ランチにはパニーニ、カフェタイムに洋菓子、ディナーには食事やワインに合うハード系のパンと、「パンを一つの料理と捉えて」シーンに合わせたパンを用意。パニーニは、国産小麦のフォカッチャ生地に野菜やローストチキンなどを挟み、注文後、店頭でプレスして仕上げる。「重くならない生地で、女性でもペロッと食べられる軽さと目の前で仕上げる楽しさを感じていただければ」。
秋吉さんは国分寺生まれ。20年以上前から飲食業に携わり、2011(平成23)年にイタリア料理店「ジリオ」つづき古民家カフェ「ジリオ」をオープン。施設老朽化により「カフェソブ」を移転オープンし、日本橋でも「ムロマチカフェ ハチ」を展開。2014(平成26)年には法人化し「エンジョイライフ」を立ち上げた。
カフェでは、提携のパン店の特注で作るパンを提供してきた同社。「もっと自分たちの好みのパンを作りたいという気持ちが高まっていた。コロナ禍でテークアウトや内食が盛んになり、いろいろな意味で今まさにパン屋をやる時だと決断した」。パン職人の倉本さんを店長に迎え、「ソブ」に自転車で行ける距離にある柴崎町の坂の下への出店を決めた。
開店から1週間しても行列が絶えず、昼過ぎには完売が続く。「近所の人からは温かい声を掛けてもらうなど、うれしいことばかり。一方、思った以上にパン屋さんは手間が掛かる大変な仕事。大量には作れないし、廃棄もしたくない、スタッフの幸せも大切にしたい」と倉本さん。「おいしいものを継続的に食べるために、コロナだけでなく環境や雇用の問題などを日常的に考えるきっかけを提供するのが、外食の一つの役割だと感じている。全力で取り組むことで、街の人たちが感じ変わっていくことがあると思うので、外食内食を楽しんでいただければ」。
ガラス張りの壁面からはパンを作る様子が見え、木のベンチではパンやコーヒー、クラフトビールも楽しめる。店名の「loro」は「おしゃべりな子ども」を意味するフランス語。「中が見えるパン屋さん。目の前で作ったパニーニをベンチで食べながら、子どもが『見て見て、何?』と話す光景を思い浮かべた。この街で日常に溶け込み長くやっていきたい」と意気込む。
営業時間は10時~20時(売り切れ次第終了)。