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国立のギャラリーで北冬書房の展示 原画や書籍販売、トーク企画も

つげ忠男イラスト原画「わたしはわるい人間だもの」(会場展示作品)

つげ忠男イラスト原画「わたしはわるい人間だもの」(会場展示作品)

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 「北冬(ほくとう)書房半世紀展 孤高のマンガ表現の軌跡」が国立のギャラリービブリオ(国立市中 1)で5月12日から開かれる。

北冬書房第一号刊行物「夜行1」(1972年4月刊)

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 北冬書房は青林堂(渋谷区)で漫画誌「ガロ」編集者としてつげ義春さんの「ねじ式」、林静一さんの「赤色エレジー」、滝田ゆうの「寺島町奇譚」などを手がけた高野慎三さんが退社後、1972(昭和47)年に始めた出版社。今回はその50年の取り組みを紹介する。高野さんは権藤晋の名で評論家としても活動。ビブリオ代表の十松弘樹さんは「半世紀にわたってユニークな活動を続けて漫画文化に貢献してきた北冬書房のことを一人でも多くの人に知ってもらいたいと企画した」と話す。

 同社は漫画・評論誌「夜行」、映画評論誌「加藤泰研究」などを編集、刊行。夜行のコンセプトを継承する雑誌「幻燈(げんとう)」を創刊した。十松さんは「商業主義とは一線を画し、まだ世に出てない人や表現に誌面を提供し育ててきた」と話す。高野さんは「北冬書房を始めた当初は、2、3年、好きな人の本を好きなように出版して資金が尽きたら就職しようと考えていたが、気が付いたら50年。あっという間に半世紀がたっていた」と振り返る。

 展覧会では「北冬コレクション展示・放出」とし、収集した貴重な原画やポスターを展示販売する。原画はつげ義春さん、つげ忠男さん、林静一さんなどのもの、ポスターは非売品のものを含め十数種類を用意する。また、「つげ義春選集」やつげ忠男さんデビュー作の「丘の上でビンセント・ヴァン・ゴッホは」「つげ忠男読本」など貴重な初期刊行物を当時の価格で販売。十松さんは「プレミアが付いている希覯(きこう)本も数多くある。貴重な原画や絵画など次代への継承のために格安で販売し、非売品のものは会場で閲覧できる」と勧める。

 高野さんが登壇する3つのトークイベントを開催。うち2つは漫画家のおんちみどりさんが参加し、つげ義春さんの長男・柘植正助さんと対談する「つげ義春さんの近況と実績 編集者、ファン、家族の視点」(14日)、荒木ゆずる(浦田隆二)さんと対談する「うらたじゅんさんを忘れない その生涯、その作品」(15日)を行う。いずれも開催時間は17時30分~19時30分。参加費は500円。

 22日15時~16時30分にはつげ忠男さんと高野さんの対論「つげ忠男と北冬書房の1972年春『屑の市』の頃」を行う。参加費は1500円。当日はつげさんの初PV「わたしはわるい人間だもの」の作曲・歌唱を手がけたミュージシャンのYO-EN(ヨーエン)さんがつげさんと共に原画の前で同曲の披露を予定する(つげさんの参加は体調により変更の可能性あり)。

 営業時間は12 時~20 時(14・15 日は17 時まで。22 日は14 時30分~17時クローズ)。水曜定休。入場無料。トークイベントは要予約で、定員は各20人。5月24日まで。

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