提供:Startup Hub Tokyo TAMA 制作:立川経済新聞編集部
「TOKYO創業ステーションTAMA STARTUP HUB TOKYO」は、起業相談、イベント開催、電源・Wi-Fi完備のラウンジスペースなどを無料で提供し起業を目指す方を応援する起業支援施設。洗練された空間が広がる立川市の商業施設「GREEN SPRINGS(グリーンスプリングス)」内に位置しており、その上質な環境と利便性から、感度の高い若い世代にも支持されています。同施設で行われている25歳以下限定の起業ゼミで昨今の学生起業についてお話を伺いました。
同施設で行われている「TAMA起業ゼミ」は、25歳以下の学生・若手社会人を対象に、約1ヵ月半かけて開催される無料の連続講座。前半はオリエンテーションと若手起業家によるストーリー講演、後半はビジネスアイデア創出に挑戦し、東京都主催のビジネスコンテストへ応募を視野に起業への理解を深めます。今すぐに起業を目指すだけでなく、「いつか起業してみたい」と起業に興味がある人も対象。「起業とは何か」を学びつつ、同世代の志ある仲間と出会い、実践スキルを身につけられるプログラムになっています。
「TAMA起業ゼミ」の様子
「就職先は決まっていますが、このまま社会人になるだけでいいのか、ほかの道も探したいと思っていました。」そう話すのは、今回の「TAMA起業ゼミ」に参加した川上さん。参加したきっかけは、SNSでイベントの存在を知り、家から近く、無料のプログラムであることに魅力を感じたといいます。
「起業のアイデアはぼんやりあるだけで、形にしていきたいと思えるかどうかを判断したかったのです。実際に参加して、やりたいという思いに傾いてきました。」現在、大学の先輩が起業した会社でインターンをしながら動画制作を学んでいる川上さん。将来的には川上さんも動画制作での起業を考えているそうです。
身近な大人に経営者がいて、自由に働く姿を身近に見てきたことも大きな影響になったそう。
「中学生の頃からなんとなく起業に興味がありました。周囲も『自由にやりたいことをやればいい』と背中を押してくれています。」
TAMA起業ゼミに参加した川上さん
川上さんにこれから起業ゼミに参加する人へのメッセージを聞きました。
「アイデアもなく、明確な起業意思がないまま来てもOKな起業ゼミ。無料で、ちゃんと成功している人の話を聞けたりワークショップに参加できたりするのは貴重。少しでも起業に興味があるならぜひ参加してみることをお薦めします。」
川上さんにとって、「TAMA起業ゼミ」は“迷い”を“挑戦”に変える第一歩となったようです。
経済産業省の「令和6年度大学発ベンチャー実態等調査」によると、2024年度に確認された大学発ベンチャーは5074社と、前年度から786社も増加し、企業数・増加数ともに過去最高を記録しました。そのうちの28%が学生によるものとなっています。同ゼミでも講師を務め、明星大学で教鞭を執る傍らTAMA起業コンシェルジュとして同施設で相談員も務める伊藤智久氏に、学生起業の現在や教育環境についてお話を伺いました。
TAMA起業コンシェルジュの伊藤智久氏
2024年度の大学発ベンチャーは5,074社に対し、インターネットが普及しIT起業家が出始めた1995年は112社でした。30年前に比べ急増している学生起業家の数ですが、価値観にも変化が見られるようです。伊藤氏は「30年前の学生起業は、どちらかといえば『新しいビジネスで一旗揚げる』『経済的成功を目指す』という意識が強いものが多い印象です。一方、現在の学生起業家の多くは、ビジネスを単なる収益獲得の手段ではなく、社会貢献の手段と捉える傾向があります。特に東日本大震災以降、環境問題や地域課題、福祉などのソーシャルビジネスを志向する若者が急増しました」と話します。
「TAMA起業ゼミ」の様子
「学生起業家が近年増加している背景には、デジタル化の進展によるコストが下がったことや、起業に関する知識の普及、教育環境の充実などがあげられます」と伊藤氏。クラウドサービスの普及により、高額なシステムが必要だったビジネスも低コストで簡単に開始することが可能になり、オンライン上で起業に関するノウハウも多く入手することができるようになりました。また、「Startup Hub Tokyo TAMA」のような無料で相談、学習ができる拠点も増加しています。それらの施設では学生起業家コミュニティの形成や学生ビジネスコンテストの開催など、ステージに合わせたさまざまなプログラムが提供されています。
「TAMA起業ゼミ」の様子
かつては「新卒で入社した会社で定年まで勤め上げる」というキャリアモデルが一般的でした。しかし、急速なテクノロジーの進化や社会構造の変化により、一社に勤め続ける時代はすでに終わりを迎えつつあります。いまや、複数回のキャリアチェンジやジョブチェンジを経験することが当たり前となってきています。
こうした時代背景のなか、副業やフリーランス、独立、起業といった選択肢を視野に入れることは欠かせない状況です。企業に属する働き方だけではなく、自らビジネスをつくる経験や、小さくてもプロジェクトを立ち上げる実践力が、キャリアの自由度を広げる鍵となっています。
むしろ、今後の社会では起業経験がないこと自体がキャリアのリスクになり得るとも言われています。なぜなら、ビジネスをゼロから生み出す経験を通じて得られる課題解決力、交渉力、ネットワーク形成力は、どの職場においても高く評価されるスキルだからです。さらに、VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代では、安定していると考えられていた大企業でさえ将来が読めません。自分で価値を生み出す力がないことは、むしろリスク要因となるでしょう。
そのため、若いうちから、たとえ小さくてもビジネスを立ち上げる経験を積むことが、これからのキャリア形成においては不可欠です。学生時代から起業や副業、探求型の活動に挑戦することが、未来の選択肢を大きく広げるのです。
今、社会は“会社に依存する働き方”から“自分のキャリアを自分で設計する働き方”へと大きくシフトしています。
伊藤氏は「『起業』という言葉を聞くと、多くの人が会社を立ち上げることを思い浮かべるでしょう。しかし、本来の意味はもっと広いものです。『起業』は文字通り業を起こすこと。必ずしも会社を設立する必要はなく、新しいビジネスや価値を生み出す行動そのものが起業です。たとえば、就職した企業のなかで新規事業を立ち上げることも起業の一つですし、副業として小さなサービスやプロジェクトを始めることも立派な起業です。起業=就職しないということではなく、重要なのは、自分の意思でビジネスを生み出すかどうかであり、そのスケールや形式は問いません。」と起業のあり方について語ります。
「TAMA起業ゼミ」の様子
「起業家精神を育むうえで最も大切なのは、まずやってみることです。机上の理論だけでは身につきません。小さくても良いので、自分でアイデアを形にし、誰かに提供する経験を積むことが何よりの学びになります。そして、その一歩を後押しするのが環境の力です。まわりに起業家や挑戦する仲間がいると、自然と行動が変わります。実際、起業家コミュニティや大学の起業サークル、インキュベーション施設など、起業家に囲まれた環境にいる人は挑戦する確率が高いと言われています。起業家精神を磨くためには、正しい知識だけでなく、挑戦を後押しする環境と、まず一歩を踏み出す勇気が不可欠です」と伊藤氏は学生起業にエールを贈ります。
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毎週土曜日に開催される全5回の講義を受けながら、ひたすら行動し続けるStartup Hub Tokyo TAMAのアクセラレーションプログラム。各テーマの講義を受講後、実際に活動を開始し、毎週報告をします。コンシェルジュ相談も活用しながら起業を加速。29歳以下で、既に事業アイデアを持っている方々お待ちしております!