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小平の平櫛田中彫刻美術館で田中が作ったひな人形を展示―人間国宝の作品も

平櫛田中が娘の結婚祝いに制作した「内裏びな」

平櫛田中が娘の結婚祝いに制作した「内裏びな」

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 小平市の平櫛田中(ひらぐしでんちゅう)彫刻美術館(小平市学園西町1)で2月11日から、木彫りの「内裏びな」をはじめ、人間国宝の掘柳女(ほりりゅうじょ)、野口園生(のぐちそのお)らの創作人形などを紹介する春季展示が行われている。

野口園生「寒月」と掘柳女「香袋」

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 同館は、彫刻家で文化勲章を受章した平櫛田中(1872~1979年)が、東京都台東区から小平市に転居し、107歳で亡くなるまでの約10年間を過ごした邸宅を公開するため1984年に「小平市平櫛田中館」として開館した。1994年に展示館を新築して美術館とし、現在に至っている。

 同展では、平櫛田中が1935年頃に制作した木彫りの「内裏びな」を展示中。同館学芸員の藤井明さんによると、「田中が結婚する次女のために作った人形。長男と長女を結核で亡くし、次女も危なかったが、無事に成長して嫁入りできたことがとてもうれしかったようだ。日展や院展に出品するような彫刻家がひな人形を作るのも珍しい」という。田中は昭和初期から木彫りの像に彩色した作品を制作するようになり、内裏びなは「田中の制作が最も充実していた時期の、彩色の技術を駆使した貴重な作品」とも。

 また、田中が収集した人間国宝の掘柳女「香袋」と野口園生「寒月」をはじめ、芹川英子、市橋とし子らの人形作品も展示。藤井さんは、「岡山県で生まれた田中は上京して高村光雲に本格的に彫刻を学ぶ前に大阪の人形師に彫刻を学んだ経緯があり、人形への思い入れが強く、晩年には百貨店の展覧会などにも足を運び、作家支援の意味もこめて人形を多数購入した」と話す。

 美術館に新たに寄託された田中の「張果仙人」や江戸から明治期の彫刻家、森川杜園(とえん)の「内裏びな」なども加え約30点を展示する。

 開館時間は10時~16時。火曜休館(祝日の場合は翌日)。入館料は一般300円。5月24日まで。田中の「内裏びな」展示は3月23日まで。

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