伊勢丹立川店(立川市曙町2)で10月14日、アート作品展「アール・ブリュット立川2015」が始まる。
立川市や国立市など多摩地区7市在住の知的障がい者や視覚障がい者25人の絵画や陶芸、立体約60点を展示する同展。
アール・ブリュットは、フランス語で「生(き)の芸術」を意味し、正規の美術教育を受けていない人たちが生み出した作品を指す。作家は障がいを持つ場合が多く、その自由な発想や斬新な視点でとらえられた作品は表現の可能性や創造の力を体感させてくれることからヨーロッパを中心に世界各国で展覧会が開かれ、日本でも近年注目を集めている。
本格的なアール・ブリュット展として多摩地域初の開催となる同展は、障がいのある子を持つ親たちが中心となり実行委員会を立ち上げ、立川市のすみれ会や日野市の光の家新生園などを含む施設や作業所を中心に作家の元を訪れ、一点一点作品の出品依頼をし、企業や団体などに足を運んで協賛金集めを行い開催にこぎ着けた。
さまざまな形と色のカエルを画面いっぱいに描いた「かえる21匹」や「シマウマ」「マンドリル」など作品8点を出展する阿山隆之さんは、板に鉛筆で下描きをしてから焼きペンで輪郭を取り、色鉛筆で彩色し、焼きペンで仕上げる手法で絵を描く。「色が重なるのが好き」といい、独特の配色と力強い線が特長。
シマウマや牛が草原や川に集う「アフリカ」など4点を出展する林航平さんの立体作品は、紙ねんどにアクリル絵の具で彩色したもの。体長1、2センチの動物を、何も見ずに指先だけで作るという。
実行委員長の松嵜ゆかりさんは「多くの人に、アール・ブリュットの魅力を知ってほしい。当展をきっかけに障がい者たちの自立の道が開ければ。2020年にはアート・パラリンピックを多摩地域で行いたい」と期待を寄せる。
10月17日は14時から、5階特別室で、社会福祉法人愛成会アートディレクターで、国内外の多数のアール・ブリュット関連の展覧会でキュレーターを務める小林瑞恵さんによるギャラリートークも行う。参加無料。
開催時間は10時~19時。入場無料。10月18日まで。