創業支援などを行う「タウンキッチン」(小金井市梶野町1)、「JR中央ラインモール」(本町1)、「多摩信用金庫」(立川市曙町2)が、地域住民主体のまちづくりを後押しする創業支援事業「HERE」をスタートした。運営は3社合同の「郊外まちづくりインキュベーション」。
同事業は宅地として形成された多摩地域を都会でも田舎でもない「ちょうどいい郊外」として住むだけでない新しい郊外像の実現を掲げ、地域の素材を生かしながら次世代に続くアイデアを育て事業を創出するためのプラットフォームを目指す。創業に関心のない地域住民をまちづくりの担い手とするべく「食や空き家といった住民の関心が高いテーマ設定」「創業者だけでなくサポーター層を含めたチーム化」「テストマーケティングなどの実践に軸を置く」の3点を特徴とした創業支援事業を展開する。東京都「インキュベーションHUB推進プロジェクト事業」の採択を受け、2019年度から3カ年にわたって実施。終了後も引き続き創業支援、まちづくりのプラットフォームの役割を果たしていくことを前提として進めている。
3月に公開したホームページは「地域住民の方々に役に立つさまざまな情報を載せている」とタウンキッチン広報の國廣さん。アイデアを形にするゼミやイベントの参加者募集を行う「PROGRAM」、郊外の多様な働き方を紹介する「MAGAZINE」、物件紹介・利活用相談や町歩きツアーを行う「PROPERTY」、シェアキッチンやシェアオフィスの施設情報を集めた「SHARE」などのコンテンツで構成する。
昨年実施した「食べるとまちのいい関係」をテーマにしたゼミには主婦やフリーランス、会社員などが集まり、後天性アレルギーの人が安心して食べられる食品提供、フードロス食材を使ったジェラート店など具体的な事業構想が生まれた。國廣さんは「地域で何かを始めたいという漠然としたモチベーションの方も対象にしたことで、地域で具体的なアクションを起こそうという層が広がったと感じている。現在も事業トライアルを続けていて、1~3年後を目標に事業に育っていけばと考えている」と話す。
4月からは「まちのインキュベーション#2」として「これからの、家と庭」をテーマに、グランドレベル(墨田区)社長の田中元子さんなど3人のゲストを招いた公開講座(4月18日、定員50人、参加1,000円)とゼミ(5月16日~9月19日、定員20人、参加無料)を予定し、現在、参加者を募集している。
新型コロナウイルス感染拡大の状況によって公開講座とゼミの開催方法などを変更する場合も。