画家の池平徹兵さんが東大和の地域住民100人とアート作品を共同制作し、11月7日、ビッグボックス東大和(東大和市桜ケ丘1)で完成記念トークイベントを開催した。
同事業「ART.LOVE 東やまと~何を感じ、どう思うか。~」は、東大和青年会議所の35周年事業の一環。「コロナ禍の影響で地域イベントが減り、地域住民の方のさまざまな機会が奪われている。そんな中『地域の皆さんと協力して何かを創り上げる機会を』と思い事業を開いた」という。
同会議所は7月24日、東大和市民会館ハミングホール(向原6)に池平さんを招き地域住民126人と共同でアート作品を制作。完成作品を現在、ビッグボックス東大和で展示している。
池平さんは1978(昭和53)年生まれの福岡県出身で、現在、東大和市在住。2013(平成25)年第16回岡本太郎現代芸術賞展入選、2017(平成29)年VOCA展(上野の森美術館)招聘(しょうへい)アーティスト選出のほか、ニューヨークやマイアミなど海外のアートフェアにも参加。ワークショップ形式での作品制作など活動は多岐にわたる。他者が描いたたくさんの絵を一つの作品にまとめるワークショップを各地で行っており、同事業もその手法を取り入れた。
参加者一人一人が、好きな自然界の動植物の写真を見ながら思い思いに描き、大きなキャンバスに各自点々と貼り付けた。そのキャンバスに池平さんが絵を描き足し、207センチ×305センチの大型作品ができ上がった。絵の中心には東大和市の多摩湖の風景も描かれ、大勢の人の作品が合わさって色鮮やかなアート作品に仕上がっている。作品名は「アートの民主化革命」と名付けられた。
池平さんは「アート作品とはその人にしか感じられない感覚を他の人にも感じられるようにしたもの。そして全ての人にその人だけにしか感じられないことはあり、それが『全ての人が必要である』理由。この作品ではそのことが一目で伝わる作品ができたと思う」と話す。
「参加者の一人一人が全力を出してくれたおかげで、この絵の全ての部分が全力で描かれている。全てが主役であり、全てが互いを引き立て合っている。一つになることを目的とせずに一つになれる世界を作ることができた。視界の隅々を大切に思える時、人はとても幸せな気持ちになれる。ぜひそれを見てほしい」とも。
同会議所の黒米さんは「子どもたちにはあえて、描けそうな絵ではなく、本当に描きたいものをチョイスさせ、挑戦することの大切さを学んでほしかった。1枚のキャンバスに100人100通りの本気が描いている作品となった。絵を本気で描くことはなかなかない機会なので、子どもはもちろん、大人たちも本気で取り組み、挑戦することの大切さを知ってもらえたのでは。東大和市の市民、子どもたちと本気で一つの作品を作ったので、ぜひ見にきていただけたら」と呼び掛ける。
展示場所はビックボックス東大和連絡通路内(レストランCASA跡)で24時間見学可。作品展示は11月30日まで。