企業データとAIの利活用カンパニー、AIデータ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 佐々木隆仁。以下AIデータ社)は、6月23日に、政府が戦略的に推進する重要17分野の一つである「防衛分野」におけるAI活用とAXをテーマにAIエージェント×AXフォーラムを開催しました。
安全保障環境が急速に変化し、防衛の競争軸が個別装備の性能から、AI・データ・組織・現場を横断して迅速な判断と行動につなげる「統合力」へ移る中、本フォーラムには、防衛・安全保障、AI、データ、ドローン・ロボティクスの第一線で活躍する有識者が登壇しました。
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■セッション1
「防衛は、“統合力”で勝つ時代へ -AI参謀が実現する次世代防衛オペレーションモデル」
AOSグループ代表 佐々木 隆仁

AOSグループ代表 佐々木 隆仁
AOSグループ代表の佐々木は、防衛力の競争軸が、戦闘機や艦船など個別装備の性能から、AI・データ・組織知を統合し、迅速に状況把握・判断・行動へつなげる「統合力」へ移っていると指摘しました。陸・海・空に加え、宇宙、サイバー、電磁波、認知領域まで戦いが拡大する一方、防衛データや図面、契約、供給網、熟練者の知見は組織内に分散しています。そこで、機密データを自国内で安全に守るソブリンデータ基盤、VDRによる安全な共有、RAGによる組織知検索、供給網の可視化を一体化した「AI Defense on IDX」を提唱。AIを人に代わる存在ではなく、複数の選択肢と優先順位を提示して人の判断を強化する「AI参謀」と位置づけ、防衛企業そのものを知能化する産業OSの必要性を強調しました。
■セッション2
「防衛イノベーションはもはや選択肢ではない - 抑止力、産業基盤、そして同盟国によるイノベーション -」公益財団法人国際文化会館 常務理事 神保 謙氏
神保氏は、人口減少や安全保障環境の急速な変化を踏まえ、防衛イノベーションはもはや任意の選択肢ではなく、抑止力を成立させる前提条件だと論じました。ウクライナ戦争などを例に、安価な無人機による飽和攻撃が高価な迎撃手段を消耗させる「コスト交換比の逆転」を紹介し、装備単体ではなく、センサー、ISR、AIによる意思決定、遠隔打撃、指揮統制、継続生産を一つのシステムとして捉える必要性を示しました。特に、防衛生産能力そのものが抑止力であり、有事にも作り続け、補給し続けられる産業基盤が重要と強調。積極的拒否を軸にAIで各機能を連関させ、デュアルユース技術や予備生産力を育成するとともに、同盟国・同志国との共同開発、MRO、供給網・技術共有を制度化する防衛イノベーション・エコシステムを提言しました。

公益財団法人国際文化会館 常務理事 神保 謙氏
■セッション3
「分断された防衛データを“意思決定力”へ ーAI Defense on IDXによる統合参謀デモ」
AIデータ株式会社 取締役CTO 志田 大輔

AIデータ株式会社 取締役CTO 志田 大輔
AIデータ社取締役CTOの志田は、防衛産業に散在する社内資料、技術情報、市場データ、特許、供給網情報を統合し、意思決定へ変える「AI Defense on IDX」のデモを披露しました。架空の防衛関連企業を題材に、AIエージェントが自社技術と外部環境を横断分析し、成長領域、デュアルユース展開、優先投資テーマ、海外依存リスク、重要サプライヤーを抽出する流れを紹介。技術参謀、経済安全保障参謀、サプライチェーン参謀など複数の専門AIが役割ごとに分析し、最後に統合参謀が経営判断に必要な結論をまとめる構成を示しました。また、機密性の高いデータはVDRで保護し、アクセス制御や証跡を確保した上でAI活用につなげる重要性を説明。良質なデータを守り、整理し、組織知として活用することが、防衛企業の競争力と意思決定速度を高める基盤になると訴えました。
■セッション4
「AI・ロボティクスが拓く“現場のデジタル化” ー ドローン3Dマップと自律型検査システムの実装 ー」Cyber Robotics合同会社 代表社員 永田 悠介 氏
永田氏は、AI参謀の判断を現場で実行する「手足」として、ドローンとロボティクスの実装事例を紹介しました。低コストな画像認識を活用した外観検査装置やロボットアーム、各種ドローンの開発経験を踏まえ、現場で重要なのは高価で複雑な装置ではなく、目的に応じて必要十分な精度とコストを実現する設計だと説明。複数のドローンを群制御し、RTK測位と撮影画像からセンチメートル級の3Dマップをリアルタイム生成する構想を示し、防衛の状況把握だけでなく、災害対応、インフラ点検、建設現場にも応用可能としました。また、調達制約や供給途絶に備え、自社生産品とデュアルユース部品を活用した国内生産体制の重要性にも言及。ドローンを単なる飛行体ではなく、現場を継続的にデータ化するセンサーとして捉え、AIとの連携により現場のデジタル化を加速できると述べました。

Cyber Robotics合同会社 代表社員 永田 悠介 氏
■セッション5
「自衛隊の運用とAIへの期待 ~今そして将来~」
公益財団法人陸修偕行社 安全保障研究委員(前陸上自衛隊 陸上総隊司令官) 山根 寿一 氏

公益財団法人陸修偕行社 安全保障研究委員(前陸上自衛隊 陸上総隊司令官) 山根 寿一 氏
山根氏は、前陸上総隊司令官としての経験から、自衛隊の運用の本質は「意思決定の連続」にあると解説しました。膨大な情報の中から任務達成に必要な情報を見極め、幕僚が各機能の見積もりを行い、最終的に指揮官が決心する一連のプロセスを、地形、敵情、部隊、人員、補給など具体的な観点とともに紹介。AIには、情報の収集・整理・検索、複数案の比較、リスクの可視化などを通じて、意思決定の迅速化と優越を支える役割が期待されるとしました。一方、作戦目的や優先順位、許容可能なリスクを決める責任は指揮官にあり、AIの提案をそのまま採用するのではなく、人が決心する原則を維持すべきだと強調。通信妨害下でも自律的に動くドローンやサイバー対処など、将来戦に必要な技術を挙げつつ、AI導入では適切な人間関与をどこに残すかが重要な課題だと述べました。
■登壇者による特別セッション
特別セッションでは、佐々木の進行のもと、山根寿一氏、永田悠介氏、志田が、防衛における統合運用、官民連携、AI参謀とデータ基盤の将来像を議論しました。山根氏は、自衛隊の統合が組織内部から進められてきた経緯を振り返り、統合作戦司令部の発足を契機に、陸・海・空の壁を越えた運用がさらに深化すると説明。永田氏は、ベンチャーが防衛分野へ参入する際の調達規模や実績要件の壁を挙げ、挑戦的な技術を育てる小規模・段階的な発注の必要性を訴えました。弊社志田は、AIの精度を高める鍵は現場・製造・運用データの蓄積と保護にあり、重要情報を守りながら連携できる基盤が不可欠と指摘。議論を通じて、防衛イノベーションを加速するためには、国、既存の防衛関連企業、スタートアップ、データ・AI企業が組織の壁を越えて連携し、技術、データ、現場知を安全に統合できる仕組みを構築することが不可欠であるとの認識が共有されました。

志田、山根様、永田様、佐々木