美術大学の学生向けシェアハウス「ゲストハウス檸檬」(国分寺市新町1)のオープンに先駆けて現在、瀧澤匠子さんの写真展 「エントラーダ」を開催している。
「ゲストハウス檸檬」は、武蔵野美術大学出身でフリーデザイナーの湯川詩子さんが運営。湯川さんは「美大は学費が高いうえ、作品制作の場の確保のためアトリエを借りる人も多く負担が大きい。また、制作に入るとつい自己に閉じこもりがちになる傾向を、日常生活に同居人や地域とのコミュニケーションを発生させることで緩和し、表現の幅を広げるインプットを増やすなどさまざまな利点を生むと考えた。東日本大震災が起きたことを機に、美大生に合ったシェアハウスの形態の概念ができた」と話す。オーナーは同大学出身で新聞紙恐竜作家として活動する杉崎良子さん。
湯川さんは、「武蔵野美術大学出身の方もいる若手の建築事務所『R.G design』(文京区)に設計監理を行っていただき、今までになかった建物、空間が実現した。ギャラリーとしての利用やイベントの開催など新たな情報発信の場として多くの人に知って利用してもらい、居住者以外も気軽に立ち寄れる場所になることを目指す」と意気込む。
先月には、一般向けに「オープン記念 内覧会&展覧会」を開いた。「遠方から訪れてくださった方、ご近所さんや学生たちが遊びに来たり、近くの小学校の子どもたちが家の中を探検しに来たりと、展覧会とは言い表せない独特の雰囲気だった」と湯川さん。近所に住み、建設中から気になっていて訪れたという主婦の方は、「とてもすてきだった。身近に美術館ができたようでとてもうれしい。これからが楽しみ」と話す。
現在、個展を開催中の瀧澤さんは、同大学を昨年度卒業した若手写真家で、同ハウスの立ち上げにも関わった。作品は、スペインのバルセロナを観光バスから撮影したもの。オープン記念展覧会では、フォトコラージュ作品を出品した。
入居者は現在、同大学の学生を対象に募集中。入居が確定している4人の専攻は、版画、写真、芸術文化など。「日々、さまざまな専攻の方からお問い合わせがあり、見学していただいている。4月に入居が始まり、合わせてギャラリーの利用やカフェラウンジ的な立ち寄りができるよう準備している。利用の仕方は工夫次第なので、アイデアや企画をお待ちしている」と湯川さん。
開催時間は11時~18時。3月9日まで。火曜定休。詳細はフェイスブックで確認できる