武蔵野美術大学(小平市小川町1、TEL 042-342-6016)は10月24日、同大学新宿サテライト(新宿区西新宿1)で公開講座「わが町の風景―その外と内の暮らしのデザイン」を開催した。今回は、国立に縁の深い作家の嵐山光三郎さんと同大学空間デザイン学科の教授であり国立市内で「こいずみ道具店」を経営する小泉誠さんが対談形式で講座を実施した。
作家の嵐山光三郎さんは国立に60年近く在住しており、時代とともに変化する国立を見守り続けている。以前より国立近辺に在住している著名人との交流もあり、同じく国立に在住していた作家の故・山口瞳さんとも親交が深かったという。
同大学教授である小泉誠さんは、プロダクト・家具・インテリア・建築など、生活に関わるすべてのデザインに関わる。現在はデザインの生産の現場と直接関わりながらデザインを進行しており、2003年にデザインを伝える場として「こいずみ道具店」(国立市富士見台2、TEL042-574-1464)を開設。2002年グッドデザイン賞金賞、2003年JCDデザイン賞優秀賞などの受賞歴も多数もつ。
今回の講座は「時代」にスポットを当てた。嵐山さんと小泉さんにとって縁が深く近年大きく変化している「国立」を事例に話が展開。その変化に対して嵐山さんは「文教都市として守ってきたものが近年壊れかかっている。市民の力で行政を動かし、よりよい国立にしなければ」と話し、小泉さんは「どんな分野でもかまわないので『リーダー』や『スター』と呼ばれる人が生まれることによって、国立の街全体が活性化するのでは」と話した。「最近は『いい家』に住みたいと考える人よりも、『いい街』で暮らしたいと考える人のほうが多い」(嵐山さん談)という話題から、街そのものの重要性についても話が及んだ。
同大学広報担当者は「嵐山さんのユーモアあふれるトークで参加者は楽しい時間を過ごすことができた。今回は芸術には直接は結びつきにくいテーマではあったが、こういった講座をきっかけに、自分たちが暮らす街について改めて考え直すことはもちろん、街中や身近にある美術やアート、デザインへ関心を持っていただければ」と話している。