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東村山で外国人観光客向け酒蔵ツアー、蔵見学や絞りたての酒試飲も

酒母室で豊島屋の田中さんの説明を聞く参加者

酒母室で豊島屋の田中さんの説明を聞く参加者

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 豊島屋酒造(東村山市久米川町3)で2月13日、外国人観光客に向けた酒蔵ツアーが行われた。

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 観光庁が母体の酒蔵ツーリズム推進協議会が推進する日本酒振興事業の一環。定期的に行っている同ツアーを企画するアンカーマン(文京区)の和田直人社長は「蔵元と海外をつなぐ架け橋になりたい」と話す。

 豊島屋酒造は1596(慶長元)年、江戸・神田で創業し、1936(昭和11)年に東村山に分離独立した蔵元。「金婚」「屋守(おくのかみ)」などの銘柄で知られる。「豊島屋を選んだのは、都心からのアクセスや、酒質、酒蔵のノスタルジックな雰囲気が良いため」と和田さん。同蔵営業部長の田中孝治さんは「ここに蔵があることを多くの人に知ってほしい」と見学希望者を積極的に受け入れてきた。

 当日は、香港から来日した夫婦やクアラルンプールやシンガポールでソムリエをしている男性のほか、旅行会社の企画担当者などの日本人も含め7人が参加。田中さんの案内で、最初に酒造りに使う井戸を見学した。「地下160メートルからくみ上げた水の年間の平均水温は16度」との説明を受け、水に触れた参加者からは「意外にも温かい」との声が多くあがっていた。

 その後、米を蒸す釜場、「酒造りで一番重要」という蒸し米に麹(こうじ)菌を繁殖させる麹室の見学と続き、酵母菌を培養させる酒母室や仕込み蔵では、釜のふたをあけて実際の発酵の様子を観察。はしごを登り、大型発酵タンクの中も見学した。この日は酒が絞られる日に当たっており、蔵の中で絞りたての酒の試飲も体験した。参加者たちは「スパークリングだ」と笑顔を見せていた。最後は、「金婚」や「屋守」などの酒を試飲し、約80分の見学は終了。その後、酒を求める参加者もいた。

 夫婦で香港から来日したロン・トさんは「日本酒はおいしかった。田中さんの酒造りへの情熱に感動した」と話し、妻のシャーリー・カンさんは「日本酒ができるまでの全体のプロセスを見ることができて理解が深まった」と話していた。

 田中さんは、「酒蔵をもっと身近に感じてほしい。東京オリンピックに向けて、ユネスコ世界無形文化遺産に登録された和食とリンクさせたイベントなども行っていきたい」と今後も外国人ツアーの受け入れに意欲を見せる。

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