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国分寺の日本画家・北村さゆりさんが宮部みゆきさん著「三鬼」の挿画展

北村さゆりさん。宮部さんからお礼メールが届いた際の、さんまと老女の絵の前で 。

北村さゆりさん。宮部さんからお礼メールが届いた際の、さんまと老女の絵の前で 。

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 国分寺のギャラリー「丘の上APT」(国分寺市泉町1)で現在、市内在住の日本画家・北村さゆりさんによる、宮部みゆきさんの著書「三鬼」(日本経済新聞社)の挿画原画展が開かれている。

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 同書は、江戸時代の怪談を題材とする連作小説で、2015年6月から2016年6月まで日本経済新聞に連載された「迷いの旅籠(はたご)」を単行本化したもの。同年12月に刊行された。会場には、北村さんが新聞連載時に手掛けた挿画全384枚のほか、単行本のために描き下ろした表紙画など3点も合わせて展示されている。

 物語の主人公である「おちか」の姿や文中で語られる怪談の内容、江戸の情景などが時にはリアルに、時には抽象的に描かれた挿画。残酷な場面ではあえて紙版画を用いてぼやかした描写にしたり、人物表現に西洋画のイメージを盛り込んだりと、話の神髄をつかんだ表現に対し、宮部さんから「さゆりちゃんは千里眼で、私の頭の中が見えているのではないかと思うほどです」とメールが届いたこともあるという。

 新聞連載中は、掲載の2カ月から1カ月前に1カ月分の原稿が宮部さんから届き、最初は読者として読み、気になった部分を原稿の余白に鉛筆でスケッチ。その後「1日か2日熟成させて」具体的に描いていったという。2週間のうち、3~4日を挿画に集中する日として深夜までかけて一度に9枚から14枚を仕上げた。日本経済新聞の連載小説は全国のうち3割がカラー、7割がモノクロで掲載されるため、最初に墨汁で描き、その上に顔彩をのせるようにして完成させ、どんな紙面でもはっきり見えるように工夫したという。会場ではスケッチが描かれた原稿も展示されている。

 北村さんと宮部さんの出会いは、北村さんが表紙絵を描き下ろした山本兼一の「火天の城」(文芸春秋社)が松本清張賞を受賞し、受賞式で審査員だった宮部さんの席の隣に座ったこと。「いい表紙ね、今度私の本でも描いて」と言われ、「孤宿の人」(新人物往来社)で実現。その後も交流を続け、今回の仕事につながった。

 北村さんは1960(昭和35)年静岡県生まれ。多摩美術大学大学院を修了。水や光をモチーフとした日本画で知られる。「利休にたずねよ」(PHP研究所)、「花鳥の夢」(文芸春秋社)など山本兼一作品をはじめとする小説の表紙画、挿画も多く手掛けている。

 開催時間は12時~18時。月曜休廊。入場無料。9月30日まで。

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