立川で現在、ファブスペース「Tschool(ツクール)」(立川市柴崎町2)の開業に向けた準備が進んでいる。
ファブスペースは、アナログ・デジタル工作機器が利用可能な施設のこと。運営する「まちづくり立川」(錦町1)は立川駅南口の商業者6人が2014年3月に株式会社として設立。ブース型シェアオフィス「KODACHI」、コワーキング型シェアオフィス「TXT」、クラウドファンディング「FAAVO東京多摩中央」などの運営を通じて立川での創業支援を行うほか、野菜直売店「地元農家のとれたて野菜 のーかる」(柴崎町3)も運営する。
同社社長の岩下光明さんは「創業セミナーなどを通じて何社かの創業に携わった中で、ITや事務系の起業より『ものづくり系』での創業のハードルが高いと感じた。また、東京のものづくり出荷量の60%を担う多摩地域の出荷量の減少、代表の高齢化や後継者不在などもあり、ものづくり系の起業者を増やすための施設の必要性を痛感していた。そんな中で、ものづくり工房の運営経験を持つ方々との出会いなどから実現に至った」と振り返る。
同スペースは2フロアを予定し、2018年2月のオープンを目指し現在改修している。敷地面積は計約250平方メートル。1階(約110平方メートル)はデジタルファブエリアや木工エリアなどの工務空間で、2階(約140平方メートル)は11の貸し出しブースと約60平方メートルのコワーキングスペースやセミナースペースなどの事務空間。3Dプリンター・レーザーカッター・塗装用エアーコンプレッサーなどを備え、試作や小ロット生産・塗装・梱包(こんぽう)などの作業を可能とする「都内でも最大級のファブスペース」(岩下さん)だという。
「Tschool」の「T」には、地域としてのTOKYO、TAMA、TACHIKAWA、機能としてのTOOL、TECH、TEAM、「school」には、利用者がものづくりや創業を学ぶ場になってほしいという思いや意味を込めた。岩下さんは「趣味のDIYを楽しむ方や自宅工房のサテライトとしての利用、ものづくりのIoTで上場を目指す方など多様に利用いただきたい。当社の強みである地域に根を張ったネットワークを生かして販売チャネルや資金面、事業提携先など地域でサポートできるスキームを作りたい。地域の皆さんにものづくりの楽しさを発信したり、創業希望者が切磋琢磨(せっさたくま)する場所になれば」と話す。