立川に「焼鳥かもしや」(立川市柴崎町2)がオープンして半年が過ぎた。
焼鳥と発酵料理をメインとした同店。店名の「醸す(かもす)」は、麹(こうじ)を発酵させ、酒・しょうゆ・みそなどを造る日本古来の発酵技術のこと。
北島麹店(錦町1)の生麹を使った自家製の「しょうゆ麹・塩・酢麹」や立川野菜を発酵させた「ザワークラウト」を使った「発酵総菜」、皮ごと発酵させた無農薬レモンを使った「レモンサワー」など、発酵のうま味を生かし料理は全て化学調味料不使用。
「牛はらみのみそ漬け」や、卵を産まなくなった成鶏「知覧鶏(ちらんどり)」を糠漬けにして鶏油をかけた炭火で焼いた「鳥皮のぬか漬け炙(あぶ)り」など焼き鳥にも発酵を取り入れる。
メニューは、串5種盛り(1,100円)、せせりのみそ漬け(220円)、合鴨つくね(200円)、発酵総菜盛り合わせ(3種、748円)、ゴルゴンゾーラのナンピザ(600円)、国産レモン酵素サワー(550円)など。
店主の後藤信人さんは立川市羽衣町出身。大学卒業後、大手不動産で営業の基本を学び、飲食業での楽しさ、喜びが忘れられず起業を決意し、銀座の焼き鳥店に転職。修業や店長職を経て、2006(平成18)年、国分寺に1号店となる「串焼DINING我楽多家」、2008(平成20)年、立川に「charcoal grill & bar 我楽多家」をオープン。
「焼き鳥屋は赤ちょうちんで男性が食べるもの」というイメージが強かった時代に、「おしゃれな焼き鳥ダイニング」という業態でスタートした。2008年に株式会社化し、現在は新宿と多摩地域を中心に9店舗を展開する。
新店では「原点である焼き鳥の知識や経験を生かし、素材や調理法を駆使し、『あそこおいしいね』と言われる焼き鳥を目指した」と後藤さん。焼き場を囲む「コの字」型のカウンターや、部位ごとに産地を指定するなど随所にこだわったという。「そこに、古くから付き合いのある北島麹店の生麹を生かした発酵食を取り入れた。子どもにアレルギーなど、自分自身も健康を意識するようになった。発酵はうま味成分もすごい。おいしくて健康が一番」とも。
今年2月22日にオープンし、コロナにより厳しい状況が続いた。アクリル板の設置や、入り口を別に設けた「隠れ個室」などが実を結び、リピーターも増えたという。「今は飲みに行く人が約2割といわれている。大きな宴会は無くても、少人数向けのメニュー展開やサービスを工夫し、これからも店を選んでお越しいただくお客さまを大切にしたい」と意気込む。
営業時間は16時~24時。