立川の諏訪通りにテークアウト専門のコーヒースタンド「KASHINOKI COFFEE(カシノキコーヒー)」(立川市柴崎町2)が11月30日、オープンした。
購入したコーヒーと焼き菓子やカップスイーツを屋外のベンチやウッドデッキで楽しめる同店。コーヒー農家に持続可能な利益を還元するフェアトレードで、市場全体でおよそ0.5%しか流通していないというスペシャルティコーヒーを販売。季節によりコーヒー豆を変えるほか、牛乳の温度にもこだわる。
メニューは、バッチブリューコーヒー(380円)、アメリカンコーヒー(400円)、カフェラテ(420円)、カフェモカ(480円)、ティーラテ(420円)、ショートケーキ(550円)、ティラミス(520円)、焼き菓子のギフトボックス(1,200円~)、コーヒー豆(2,000円~)など。
店主の林巨樹さんは千葉県佐倉市出身。「エコール 辻 東京」(国立市)を卒業後、同校勤務を経て渡仏。パティシエとしてフランス修業後、クラブハリエに入社、フランス菓子専門店「オクシタニアル」に勤務。パティシエのコンクールで国内トップのファイナリストになるほか、BASEFOODで商品開発を行う。メルペイのCPO(最高プロダクト責任者)が代表を務めるカンカクに参画し、キャッシュレスモバイルオーダーを採り入れた「KITASANDO COFFEE」「TAILORED CAFE」で店長として立ち上げに関わった。
同店のテーマは「サスティナブル(人間・社会・地球環境の持続可能な発展)」。フェアトレードのコーヒーや紙製のストローやパッケージに加え、菓子製造許可のある「会員制シェアキッチンラボ」を併設し「サスティナブルな働き方」を提案する。SNSの呼び掛けで集まった50人の中から選ばれたインスタグラマーやユーチューバーなど8人が登録し、製造したお菓子をオンラインショップで販売するなどの活動をしている。林さんは施設運営のほか、材料の発注システムの構築、オンラインショップの立ち上げ、商品開発、販売のサポートなどを行っている。
「現在の飲食業界では10年修業するのが当たり前。修業後、独立して自身の店を開店した優秀なパティシエがマネジメントで苦労する姿や、ホテルに就職したが東京オリンピック延期やコロナで食の仕事から離れる仲間を目にして、新しい働き方、技術の見せ方を提案したいという思いが強くなった」と林さん。同店の前身「ステファンアンドジョー」の店主ステファンさんと親交があり、開業に至った。
「子どもたちの憧れの職業がユーチューバーというのが悔しい。飲食はエンターテインメントや自身をパフォーマンスする魅力にあふれている。ここでステージを提供し共に試みていくことで、持続可能で豊かな働き方、生き方を提案していきたい」と林さん。「立川や国立には飲食の専門学校もあり、グルメな学生が多い。専門学生のインターンシップや大学生起業家のように、在学中から経営を学ぶ機会もつくっていきたい」とも。
店名の「カシの木」にはさまざまな伝説があり、堅く丈夫であることから昔からカシの木の周りに集落ができたという。人が集まり場所、貸しスペースとお菓子の「カシ」を懸けて命名。ウッドデッキにもカシの木を使う。「おいしいコーヒーを飲んで一息つきながら、立川の街町でもサスティナブルな豊かさを感じていただけたら」と来店を呼び掛ける。
営業時間は10時~18時。12月31日~1月3日は営業し、期間限定で「甘酒ラテ」を販売。12月31日は終夜営業。