立川の鉄板焼き「千珠(せんじゅ)」(立川市曙町3)が現在、同店隣の青果店跡地で「たこ焼きとワイン 八百喜(やおき)」のオープン準備を進めている。
創業28年を迎える鉄板焼き店「千珠」。2代目となるオーナーシェフの武藤充英さんは、2014(平成26)年に急逝した先代の父親の跡を継ぎ、生産者の顔が見える飲食店を目指すとともに、地球環境を守る活動にも多く取り組んできた。
2020年9月には「気候マーチ立川」を企画し、プラカードを持って立川駅周辺を行進。同年11月に開いたボージョレ・ヌーボー解禁記念パーティーでは、売上金をバングラデシュで出会った孤児たちのために寄付した。そのほか多数イベントを開催し、児童養護施設や犬猫保護団体などにも寄付している。
新店は、こうした寄付活動を目的とした店とし、「誰かの幸せに貢献する、これから学ぶ見えない問題解決」をコンセプトに、売上から毎年100万円、10年間で1,000万円を寄付することを目指す。
店で使うたこ焼きの材料は、フードマイレージの観点からも地元農家の野菜を中心に仕入れる。併せて、無農薬無肥料で遺伝子組み換えではない小麦を種から自家栽培し、自らタコ釣りにも出向き、化学調味料を使わずに手作りするという。店で使う電力は自然エネルギーを使い、食材は使い切ってロスが出ないよう工夫し、環境に配慮した店舗運営を目指す。
オーナーの祖父が経営していた青果店の店名「八百喜」と外観を継承。店内にカウンター席を設け、たこ焼きとワインを提供する。外観は青果店だが、内装はミラーボールやネオン、DJブースを設置し、「たこ焼き店らしからぬスタイリッシュな雰囲気に仕上げる予定」と武藤さん。
現在、クラウドファンディングで改装費用を募っている。武藤さんは「たこ焼きとワイン、古い外観と新しい内装、飲食とチャリティーなどの面白い組み合わせを混ぜ合わせて一つの店を作り上げたい。今まで多くのチャリティーイベントをやってきたが、イベントではなく常設の店舗で売上を寄付に回すことで皆が楽しみながら誰かのためになる店にしていきたいため、支援いただければ」と呼びかける。
クラウドファンディングの受け付けは5月8日まで。オープンは8月27日を予定する。