NPO法人「くにたち農園の会」が今年も、蚕の飼育を家庭で楽しむ「お蚕フレンズプロジェクト」を始めた。
家庭での蚕の飼育とSNSでの情報交換・勉強会などを楽しむ同企画は今年で3年目。昨年は春・夏・秋に行い、100人以上が参加した。今年は新たな取り組みとして、「お蚕フレンズ説明・体験会」を開き、家庭での養蚕についての説明や、原始的な「おり藁(わら)まぶし」の制作体験を予定する。併せて、非公開SNSグループ上での情報交換では「お蚕センパイ制度」を導入し、昨年以前からの参加者が初心者の質問にアドバイスできるようにする。
「くにたち はたけんぼ」、古民家「つちのこや」(以上、国立市谷保)を拠点に、子育て支援活動を行っている同NPO。担当の村井里子さんは「八王子は『桑都(そうと)』と呼ばれるほど養蚕業・織物業が盛んだったが、立川、国立、日野など多摩地域全体で農家の貴重な収入源として養蚕が行われていた」と話す。「蚕の餌となる桑を探して歩いていると、あちこちに自生している桑があり当時の景色が思い起こされる」という。
参加者は申し込み後、蚕種(さんしゅ=蚕の卵)を、長野県上田市の蚕種会社からの直送または説明・体験会で受け取り、各家庭で飼育がスタート。お菓子の箱や食品保存容器などで、桑の葉または人工飼料を与えて育てると約1カ月で卵から繭になる。飼育中はフェイスブックの非公開グループで情報交換を行うほか、繭玉を使ったクラフトのワークショップや養蚕農家のオンライン見学会を予定している。
「楽しみ方は人それぞれで、繭を素材にしてクラフトを作る人、繭で終わらせずに羽化させ、最後までみとり丁寧に埋葬する人、お蚕そっくりなスイーツを作る人など。『知らないうちに昨年の蚕が産んだ卵がかえっていた』という報告もあった」と話す。「1カ月で卵から繭になる蚕との暮らしを一緒に楽しんでいただければ」と参加を呼びかける。
参加費は4,400円。申し込みは6月15日まで。説明・体験会は7月2日16時~。